
6日続伸は2024年1月5〜15日以来、約1年4カ月ぶり。
きょうは先物主導で日経平均が上値を大きく伸ばす格好となった。前日の米国株市場でNYダウが朝方に急落したものの、その後は立ち直り結局上昇して引けたことで、東京株式市場でもリスク選好の地合いが続いた。
日銀の金融政策決定会合では政策金利の現状維持を決めたが、公表された展望リポートでは25年度と26年度の経済成長率見通しを下方修正したことで、日銀の利上げは当面難しいとの見方が広がり、金利敏感株や半導体関連などを中心に買い戻しが顕著となった。
ただ、個別株をみると指数寄与度の大きい時価総額上位の銘柄への買いが目立っており、値上がり銘柄数は600に届かず、一方で値下がり銘柄数は1000近くに及んでいる。企業の決算発表は総じて好調とは言い切れない環境下で、きょうは値下がり銘柄数がプライム市場全体の6割強を占めた。
東京外国為替市場で円相場は1ドル=144円台まで下落した。円安を受け、株価指数先物への買いが強まった。
日銀が会合後に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では25年度と26年度の実質国内総生産(GDP)や生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)上昇率の見通しを前回1月時点から下方修正した。海外経済の先行き不透明感から日銀が利上げをするのは当面難しいとの見方が強まり、外国為替市場では円売り・ドル買いの流れが強まった。株式市場では三井不などの不動産株に買いが強まった一方、三菱UFJが後場に下げ幅を拡大するなど日銀の低金利政策の継続を見込んだ売買がみられた。
4月30日のNYダウ工業株30種平均が7日続伸したことも投資家心理の支えとなった。30日の取引終了後に米マイクロソフトと米メタプラットフォームズが発表した25年1〜3月期決算では、売上高と1株利益がともに市場予想を上回り、両社の株価が時間外取引で大きく上昇した。メタが設備投資額の見通しを上方修正したこともあり、日本では人工知能(AI)向け半導体の製造装置を手掛けるアドバンテストやディスコが物色された。
主要企業の25年3月期決算発表とあわせて大規模な自社株買い枠の新規設定が相次いでいる。4月30日に1000億円の自社株買いを発表したJR東海が年初来高値を更新した。1日午後に800億円の自社株買いを公表した住友商は後場一段高となった。市場では「企業の資本効率改善への意欲は強い。これから決算発表する企業も相次いで自社株買いを発表するとの期待が高い」との声があった。
日経平均は節目の3万7000円が次のターゲットになるとの声も聞かれ始めている。トランプ政権による相互関税を警戒するなかで海外勢は年初から売り越していたため、依然として売り長の需給状況であるだろう。足もとの順調なリバウンドにより海外ファンドなどは買い戻しの動きを強めてくる可能性もありそうだ。国内企業の決算発表が本格化しているほか、トランプ政権の関税政策を巡る2回目の協議の行方も確認したいと考える向きも多いが、押し目待ち狙いのスタンスで対応したいところであろう。