朝方は強弱観対立のなか方向感の見えにくい展開だった。あすにメジャーSQ算出を控え、積極的な買いは入りにくかったものの、前日に日経平均が600円近い急落をみせていたことで、リバウンド狙いの押し目買いや空売り買い戻しなどが全体相場を支える形となり一時はプラス圏で推移した。しかし、後場に入ると先物を絡めた売りが噴出し、日経平均は急落。下げ幅は一時500円に迫る場面もあった。カナダ中銀が3会合ぶりに利上げに踏み切ったことで、前日の米国株市場では金利上昇を背景にハイテク株が売られ、ナスダック総合株価指数が続落した。この地合いが東京市場にも波及した。ただ、売り一巡後は値ごろ感からの押し目買いが入り大引けにかけて下げ渋った。値下がり銘柄数はプライム市場全体の約7割を占めている。
海外の短期筋とみられる投資家が、株価指数先物に断続的な売りを出した。前日の米ハイテク株安も重荷となり、エムスリーやキーエンスなど相対的にPER(株価収益率)が高い銘柄を中心に売りが優勢となった。
日経平均はプラス圏で推移する場面もあった。7日の大幅な下落を受けて、寄り付き直後に主力株の一角に買いが入った。午後は500円近く下げた後、押し目買いの動きから下げ渋った。日経平均の取引時間中の高値と安値の差である日中値幅は615円と、前日(794円)から縮小したが、なお荒い動きだった。
前日の米国市場は、カナダ中銀が市場予想に反し、0.25%の利上げを決めたことが、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げへの思惑を呼び込み、金利上昇を嫌気してハイテク関連株中心に値を消した。東京市場もこの流れを引き継ぐ形となった。短期的な相場の過熱感と東京株式市場の先高期待という強弱材料が交錯するだけに、手掛けづらくさせた。
日経平均はSQを前に1000円近く下落したが、4月末からは3000円超上昇しており、相場の上昇トレンドが変わったと見る向きは少ない。投資家の関心はSQを波乱無く通過した後も外国人投資家の買いが続くのかどうかだ。来週は日米の金融政策決定会合を控えているだけに、海外勢の動きは一時鈍くなることも想定され、海外投資家の買いが細る可能性は留意したいところだろう。