
朝方こそ前日の地合いを引き継ぐ格好で日経平均は大きく上値を指向したが、後場に入ると目先利益確定売り圧力が顕在化し、小幅マイナス圏に沈む場面があった。先物主導で一時4万9900円台まで買われたものの、ここがきょうの天井圏となった。前日の欧州株市場が全面高だったほか、米国株市場でも地銀業界の不良債権問題に対する警戒感が後退したことや、米中摩擦の緩和期待を背景に主要株価指数が堅調に推移した。
東京株式市場でも自民党と日本維新の会の連立樹立に伴い、高市早苗自民党総裁の新首相選出が濃厚となったこともあって、財政拡張的政策への期待感が相場を押し上げた。しかし、後場に入ると5万円大台を目前にして急速に値を消した。高市氏の首相指名が明らかとなると、目先材料出尽くし感が意識された。終値は日経平均がプラス圏を維持して着地、連日最高値更新となった。
20日の米株式市場でNYダウ工業株30種平均は続伸し、終値は前週末比515ドル(1.11%)高の4万6706ドルだった。トランプ米大統領が20日に改めて中国との関係が良好だとして、貿易協定締結への楽観的な見方を示した。貿易問題を巡る米中対立が和らぐの見方が投資家心理を上向かせた。21日の東京株式市場では指数寄与度が高いファストリが株式分割考慮ベースの年初来高値を更新し、日経平均を押し上げた。
自民党と日本維新の会は20日に連立政権の樹立で合意した。21日の首相指名選挙に先んじて財政拡張・金融緩和を志向する高市早苗総裁が首相に選ばれるのは確実な情勢だったことから、日本株は上昇していた。市場では「高市政権は財政を活用して人工知能(AI)や原子力などを政策的に後押しする方針とみられ、投資家の期待値を一段と高めそうだ」との声があった。
午前に大きく上昇した日経平均は午後に下げる場面もあった。足元の株高を受け国内年金の売り観測が聞かれた。午後に自民党の高市総裁が首相に選ばれると、これまで株を買い進めてきた一部の短期投資家から材料出尽くしに伴う売りが出た。日経平均はきょうの高値からは一時、800円あまり下げる激しい値動きだった。
さて、東京株式市場は米株高や高市政権誕生をはやして日経平均が一気に5万円を取ろうかという展開となった。今日のところはあと少しで大台達成はならなかったが、自民・維新の連立政権で積極的な財政策が打たれる公算は高く、いずれ近いうちに5万円に乗せてくる流れとなるだろう。気が付けば常に日経平均より高かったNYダウ平均を数字のことだけとはいえ抜いている。高市トレードの凄さが表れているようだ。