
朝方こそ日経平均がプラス圏でスタートしたが、その後はすぐに値を消す展開となった。前日の欧州株市場では独DAXが連日で史上最高値を更新したほか、米国株市場でもNYダウは構成銘柄の一角が暴落したことで安くなったものの、ハイテク株中心に物色意欲は旺盛、ナスダック指数は5日続伸しフシ目の1万9000台を回復した。エヌビディア<NVDA>が大きく買われたのをはじめ半導体セクターの上昇が目立ち、東京株式市場でもこの流れを引き継いで同関連株への買いが活発だった。一時140円あまり上昇した。
ただ、日経平均は朝高後に値を消しマイナス圏に。
利益確定目的の売りや戻り待ちの売りが優勢となった。下げ幅は一時330円を超えた。
外国為替市場でドル安・円高方向に振れたこともあって、自動車セクターへの売りを誘発し市場センチメントを冷やしている。後場は下げ渋ったものの、値下がり銘柄が1000を超え全体の63%を占めた。一方、売買代金は前日に続いて高水準だった。
日経平均は前日まで4連騰、東証株価指数(TOPIX)は15年9カ月ぶりの13連騰となっていた。外国為替市場で円相場は対ドルで一時、1ドル=146円台後半と円高・ドル安が進行し、トヨタなど輸出関連株の重荷となった。
市場関係者は「関税を巡る米中合意への市場の好感が一巡するなか、日米の関税交渉がまだまとまっていないとあって、日経平均は3万8000円台を上抜けるエネルギーはない。もっとも、為替が円高に振れたにもかかわらず、底堅い印象も持った」との見方を示した。
米中貿易摩擦への懸念が後退し、それを織り込む形で相場も値を上げただけに、ここからさらに上値を目指すには新たなきっかけ材料が必要だろう。徐々に上昇ピッチが鈍ってくれば、目先はボックス相場に突入する可能性が高そうだ。決算発表がピークを迎えていることで積極的に手掛けづらいところであり、まずはピークを通過する週末に向けての押し目狙いのスタンスになろう。