きょうは朝方に売り買い交錯でスタートしたが、その後は先物主導で急速に下値を探る展開に変わった。前日の米国株市場では最高値圏にあるNYダウが上昇一服となったものの、ハイテク株に強い銘柄が目立ち、ナスダック総合株価指数は4日続伸した。
また、外国為替市場ではドル高・円安が急速に進んだこともあり、東京株式市場も追い風が意識されたが、取引開始後しばらくして地合いが急速に悪化した。27日に投開票される衆議院総選挙で与党が想定以上に議席数を減らし、過半数割れも視野に入るという報道を受け、海外投資家とみられる売りを誘発したもよう。株価指数先物への売りが相場を下押しし、日経平均は一時700円を超える下げをみせる場面もあった。
日米の長期金利が上昇(債券価格は下落)基調にあり、リスク資産の日本株には持ち高調整の売りも出やすかった。半導体を巡る米国の対中輸出規制への警戒もあり、投資家の買い意欲は乏しかった。
27日投開票の衆院選で与党自民党が想定以上に苦戦を強いられるとの警戒感から売りが膨らんだ。共同通信社は22日、衆院選について実施した世論調査では自民党は苦戦し、自民党と与党を組む公明党の議席も伸び悩む結果となり、与党で過半数議席の確保は微妙な状況と報じた。NHKが21日夜に報じた世論調査によると、石破茂内閣を「支持する」と答えた人は、先週行った調査より3ポイント下がって41%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は3ポイント上がって35%だった。中長期の機関投資家の買いが手控えられやすい状況のなか、投機筋の先物への売りが強まる場面があった。
11月の米大統領選を巡ってトランプ前大統領が勝利するとの思惑から21日の米債券市場では長期金利が前週末比0.11%高い(価格は安い)4.19%と7月下旬以来、約3カ月ぶりの高水準を付けた。22日の国内債券市場でも長期金利は一時、0.985%と8月2日以来の高水準となり、株式の相対的な割高さが意識されやすかった。22日の東京外国為替市場で円相場は一時151円台まで下落したものの、輸出関連株を買う動きは限られた。
ロイター通信は米東部時間21日に「中国のハイテク分野への米国からの投資を規制する法案の審議が最終段階にあり、米政府は近く公表する見込みだ」と報じた。11月の米大統領選が近づき、半導体を中心に米国の対中規制強化の観測報道が相次いでいる。投資家心理の悪化につながり、東京エレクトロンやアドバンテストなどの半導体関連の一角が下げた。
日経平均の日足チャートは始値よりも終値が低い「陰線」が10日続いた。10日連続の陰線は2012年5月以来となる。
衆院選を控え積極的な買い手不在の中、短期筋の売りに下げ幅を広げる格好となった。選挙前だけに、今後も情勢報道が続くと思われ、短期筋のインデックス売りは続くだろう。目先の下値のめどとみられる200日線水準を割り込むのも時間の問題で、そうなれば2日の安値3万7651円近辺まで調整が続く可能性があるだろう。一方、選挙が終われば投資家の関心は本格化する業績動向に移っていくことが想定されるため、好業績企業の押し目を拾う絶好の機会と受け止めておきたい。