前日の米株式市場では、NYダウが330ドル安と3日続落したほか、半導体関連株などが軟調でナスダック指数も続落した。ただ、日経平均株価は前日までの3日間で800円を超える下落となっていただけに、下値を拾う動きも強まり値を上げてスタートした。特に、前場に下落が目立った半導体関連株は、後場に入り下値に買いが流入し堅調な値動きとなる銘柄も目立った。また、国内金利が高水準を維持するなか銀行や証券といった金融株が買われた。引けにかけ国際的な株価指数のMSCIの定期入れ替えに伴うものとみられる売買が入り出来高も膨らんだ。東証プライム市場の売買代金は7兆7612億円と、2022年4月のプライム移行後で最高となった。
31日の国内債券市場で新発10年物国債の利回りは1%台で高止まりしたが、このところ急速な金利上昇が株安を促す場面が多かったため、金利上昇がひとまず一服したとの見方が株の見直し買いにつながった。足元で節目の3万8000円が下値支持となっていることも自律反発の機運を高めた。ただ、前日の米株式相場が下落するなど特段の買い材料は乏しかったため、午前の日経平均は上値の重い場面も目立った。
大引けで米MSCIの株価指数「グローバルスタンダード指数」の構成銘柄の定期入れ替えに伴う売買が発生した。指数連動型の投資家による除外銘柄への売りで、市場全体では2000億円程度の資金流出が見込まれていた。ただ、機械的な売りが出ることを見越して先回り買いを入れていた海外投機筋なども多かったとみられる。需給面では5月のMSCIの定期見直しが1年で最大のイベントと市場で認識されていることもあって思惑的な売買が膨らみ、大引け間際の1分間で4兆円弱の売買が成立した。
5月の日経平均は月間で0.21%上昇した。小幅ながら2カ月ぶりに上昇した。
注目のPCE物価統計については、総合指数とコア指数の前月比伸び率は、それぞれ前月と同水準(0.3%上昇)が見込まれている。強い物価統計となれば、早期の利下げ観測が後退し、米国株安を通じて、来週の東京株式市場も売り優勢の展開になりかねないだけに、PCEの結果と米国市場の動きには注意が必要だろう。
また、来週は3日に5月のISM製造業景況指数、5日には5月のISM非製造業景況指数、7日には雇用統計と重要指標の発表が目白押しで、来週も米経済指標を受けた相場展開が続くことになる。