前日の米国市場は、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が18日の講演で「インフレ率を米連邦準備制度理事会(FRB)の目標である2%に戻すためには、政策金利を当面、高水準で維持する必要がある」と述べたことが米長期金利上昇を促し、主要株価指数は下落した。東京株式市場も金利動向に敏感とされる半導体関連や電子部品関連など値がさ株を中心に広範囲に売りが膨らんだ。急ピッチの下げの反動から押し目を拾う場面もあったものの、アジア市場が軟調に推移しているほか、中東情勢の行方も気がかりとなるなか、買い見送りムードが広がっていた。
日経平均への寄与度が大きい東エレクやアドテスト、レーザーテクなど半導体関連の下落が目立った。18日の米市場で米長期金利が約16年ぶりの水準に上げ、米ハイテク株が売られた流れを引き継いだ。国内の長期金利が10年3カ月ぶりの高水準になったことも株価の重荷となった。上海や香港などアジア株の下落が投資家心理に響き、海外の短期筋などが株価指数先物に売りを出した。
ただ、インバウンド(訪日外国人)関連の一部には物色が向かった。日本政府観光局(JNTO)が18日発表した9月の訪日客数は新型コロナウイルス流行前の水準をほぼ回復。京王や小田急、JR西日本などの鉄道株が堅調に推移した。
市場では「金利上昇による経済への影響が懸念されるなか、中東情勢という不透明要因も加わり、長期運用向けポジションを取りにくい状況が続く可能性もある」との声が聞かれた。
市場の関心は、パウエルFRB議長の講演内容に集まっている。米連邦公開市場委員会(FOMC)のブラックアウト期間入り目前の発言機会は、FOMCの「予告」になると目されているだけに注目度が高いと言える。31日からのFOMCでは政策金利の据え置きがコンセンサスであるが、その先の金融政策については見方が分かれているだけに発言内容次第では、米長期金利が一段と上昇するリスクがあり、世界的に株式から資金逃避が起こる可能性も残るだけに警戒したところだろう。