朝方には売りが優勢となる場面があった。その後は持ち直し、上げに転じた。円安歩調とともに先物買いを交えて上げ幅を拡大し、前場後半には2万8581円36銭(同532円42銭高)まで上昇する場面があった。
中国の電力不足による景気下振れリスクへの警戒がいったん遠のいたほか、外国為替市場で円安・ドル高が進んだことで、自動車など輸出関連株を中心に幅広い銘柄に買いが入った。金融所得課税の引き上げを巡る懸念が後退したことも買い安心感につながった。国内の経済活動再開への期待が内需関連銘柄を押し上げた。
岸田文雄首相が金融所得課税の見直しについて、10日のテレビ番組で「当面は触ることは考えていない」と語った。投資家心理を冷やすとみられてきた税率引き上げへの懸念がひとまず解消した。国内では新型コロナウイルスの新規感染者数が減少傾向にあり、経済活動の再開が一段と進むとの見方から、内需関連銘柄が買われた。
市場からは「市場では、岸田首相の金融所得課税見直しの先送り発言が買い材料との指摘もあるが、10日に分かった話であり、ならば朝から高くても良かったはずだ。強いて言えば、円安歩調をにらんでの動きではないか。ただ、ボラティリティー(価格変動率)が高く、上にも下にも動きやすい面はある」との声が聞かれた。
JPX日経インデックス400は続伸した。東証株価指数(TOPIX)も続伸し、前週末比34.73ポイント高の1996.58で終えた。
東証1部の売買代金は概算で2兆7085億円。売買高は11億9417万株だった。東証1部の値上がり銘柄数は1834と、全体の8割強を占めた。値下がりは295、変わらずは54だった。