前日の米株式市場では、NYダウが前日比321ドル安と急落。バイデン米大統領は富裕層に対するキャピタルゲイン課税を従来の約2倍に引き上げる方針と伝わったことが嫌気された。この米株安の流れは、東京市場にも波及し日経平均株価は朝方に一時400円を超す下落となった。週末で様子見姿勢も強まった。ただ、売り一巡後は下値に買いが入り下げ渋る展開となり、結局2万9000円台をわずかに上回り取引を終えた。
政府は東京など4都府県を対象に、今夕に新型コロナウイルスの緊急事態宣言を発出する見込み。経済活動の大幅な制限は避けられないが、悪材料の織り込みはある程度進んだとの見方から、鉄道株や百貨店株の一角には買いも入った。
来週から主要企業の決算発表が本格化するのを控え、結果を見極めたいとの雰囲気も強まり、後場に入ると値動きは小幅にとどまった。
市場では「富裕層への増税そのものはバイデン氏が大統領選の公約に盛り込んでいたもので大きな驚きはない。高値圏で推移していた米国株の利益確定売りの口実にされたにすぎない」との声も聞かれ、下値を売り急ぐ動きは続かなかった。
「トレンドを変えるまでには至っていない。ただ、日電産の今期業績予想が市場コンセンサスに届かず、株価が急落したように、この手の銘柄はこれからも出てくるとみられ、相場は上に行きづらい」との声も聞かれた。
JPX日経インデックス400は反落。終値は前日比68.74ポイント安の1万7243.72だった。東証株価指数(TOPIX)も反落し、7.52ポイント安の1914.98で終えた。
東証1部の売買代金は概算で2兆44億円と1月18日以来およそ3カ月ぶりの低水準だった。売買高は9億5501万株。東証1部の値下がり銘柄数は1376と、全体の約6割を占めた。値上がりは708銘柄、変わらずは106銘柄だった。