節目の3万9000円を上回る水準での上値の重さが意識されるなか、利益確定や手じまいの売りを急ぐ動きが優勢になった。
朝方は買いが優勢だった。主力株をはじめ広範囲に買い戻しの動きが表面化し、日経平均は頑強な値動きを示したが、上昇一巡後は一転して売りに押される地合いに変わった。前日の米国株市場では10月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想と合致したことで、安心感が広がりNYダウが小幅ながら上昇した。
また、外国為替市場では1ドル=156円台まで円安が進んだことも相場の下支え材料となった。しかし、後場に入ると先物主導で売り圧力が表面化し、日経平均は下値を試す展開を強いられた。半導体関連株などの下げがマーケットのセンチメントを悪化させた。
トランプ次期米大統領の政権人事で対中強硬派の人物が起用されるなど、追加関税が周辺国の景気を冷やしかねないといった警戒感も引き続き重荷となった。国内証券の情報担当者は「日経平均については、トランプ氏の政策期待を背景にした米国発の『トランプラリー』がほぼ帳消しになった」と指摘。国内の企業決算では自動車を中心に苦戦も目立ったとあって、「日経平均の年末高は期待しづらくなった」とみていた。日銀が年内にも追加利上げに踏み切るとの見方が広がっていることも、売りを促した。
米連邦準備理事会(FRB)の利下げ方針を変えるほどではないとの受け止めが買い安心感につながった。米長期金利が高止まりするなか、円安進行を受けてトヨタ、マツダといった自動車株の一角は買われた。
トランプ・トレードも一巡してきたとみられるが、米中関係の緊張など、マイナス面に備えた動きをみせている。指数インパクトの大きい値がさハイテク株が弱い値動きのなかでは強いリバウンドは期待しづらいところである。なお、決算発表は本日でピークを通過した。決算の結果を受けて過剰な反応が目立っていたこともあり、急落を余儀なくされた銘柄などには、見直す動きが意識されてきそうだ。日経平均の方向感が定まりにくいなか、個別の材料を手掛かりとした物色に向かわせそうである。