朝方こそ売り買い拮抗で始まったが、その後に日経平均は漸次水準を切り下げる展開となりマイナス圏で推移した。前日の欧州株市場ではウクライナ情勢の緊迫化に伴う地政学リスクなどを嫌気し、主要国の株価は総じて軟調。
ただ、米国株市場では取引終盤にNYダウがプラス圏に浮上するなど底堅さを発揮した。
日本時間早朝に発表された半導体大手エヌビディア<NVDA>の2024年8〜10月期決算は人工知能(AI)需要を背景に大幅増収となり事前予想を上回る好調だったが、時間外取引で売り優勢となったことで、東京株式市場でも半導体関連株の気勢を削ぐ格好となった。
値がさの半導体関連株などが売りに押され、日経平均の下げ幅は400円を超え、心理的節目の3万8000円を下回る場面もあった。
半導体のほか電気機器、精密機器などハイテク株を中心に売りが出た。その後は米株価指数先物やアジア株の下落も重荷となった。
米株価指数先物が軟調に推移していることなども横目に終始売り圧力が拭えなかった。一方、売買代金は今週に入って手控えられる傾向にあり、4営業日連続で4兆円を下回っている。
オースティン米国防長官が20日、ウクライナへの対人地雷の供与を許可したと伝わり、地政学リスクへの警戒が海外勢などの投資意欲を後退させた。大引け間際には日銀の植田和男総裁による「金融政策決定会合ごとにデータを判断して見極める」との発言をきっかけに円高・ドル安が進んだが、株式相場の反応は限定的だった。心理的節目の3万8000円を下回る水準では値ごろ感の買いが入り、底堅さも目立った。
市場関係者は、「エヌビディアの決算は期待が高すぎたとあって、市場予想を多少上回った程度では買い材料にはならなかった。日本株をけん引する半導体関連株に買いが入らなければ、海外投資家は日本株買いに慎重になる」とみていた。