朝方は強弱観対立のなかも買いが優勢で、寄り後に日経平均は次第高の展開に。後場寄りには230円弱上昇し3万8400円台まで水準を切り上げたが、そこがきょうの高値となり、後は一貫して値を下げる展開に変わった。日米の長期金利上昇を嫌気する形で買いが手控えられ、あすにオプションSQ算出を控えて先物主導で仕掛け的な下げ圧力が観測された。好決算発表銘柄が買われる一方、半導体関連の一角には売りがかさんだ。ただ、日経平均は安く引けたもののTOPIXはプラス圏で着地し、個別株をみても値上がり銘柄数が1000を上回り、全体の65%を占めている。
日銀が朝方に公表した4月25〜26日開催分の金融政策決定会合の「主な意見」について、市場では追加利上げなどを意識させる「タカ派」的な内容との受け止めがあった。9日の国内債券市場では長期金利が上昇し、ハイテク株には相対的な割高感を意識した売りが出やすかった。英半導体設計のアーム・ホールディングス株が米国時間8日夕の決算発表後に時間外取引で急落し、アームの親会社のソフトバンクグループ(SBG)や半導体関連株の一角に売りが波及した面もあった。
一方、川重やオムロンなど市場予想を上回る業績見通しを示した銘柄には買いが入った。自社株買い枠の設定など株主還元強化を打ち出す企業もあり、投資家心理の支えとなった。
全般は方向感のない動きが続いている。今週末から来週初にかけて、企業の決算発表がピークとなるだけに、業績動向を確認しておくことが重要だろう。また、米国の金融政策に関しては、来週の消費者物価指数(CPI)の結果を見極めたいと考える投資家が多く、個別材料株物色が一段と強まりそうだ。