きょうはリスク回避ムード一色の展開となり、日経平均株価は大きく下値を試す展開を強いられた。米長期金利の上昇を背景に米国株市場でハイテク株への売りがかさんでおり、この流れが波及している。
外国為替市場では1ドル=131円台まで円安が進んでいるが、きょうは輸出セクターでもこれを好感する動きはほとんどみられなかった。中国ではゼロコロナ政策による経済活動への影響が懸念されており、ウクライナ情勢の先行き不透明感も全体相場に重荷となっている。日経平均は軟調なアジア株や米株価指数先物の値動きを横目に漸次下げ幅を広げる展開で、ほぼこの日の安値圏で引けている。
前週末6日発表の4月の米雇用統計は労働市場の逼迫とそれによるインフレ圧力を改めて確認する結果となり、米10年債利回りは3.1%台まで上昇した。主要なハイテク株で構成するナスダック100株価指数は同日1.2%下落、日本時間9日の取引でも先物の「Eミニ・ナスダック100」6月物は一時1%超下落した。成長(グロース)株を中心に金利上昇の逆風が強く意識され、エムスリー、リクルートなどが大きく下落した。
中国関連銘柄の下げも目立った。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため上海市で都市封鎖(ロックダウン)が実施されるなど、経済活動の制限が続いている。景気の先行き懸念からファストリが6%安、コマツが4%安となった。ロシアの対ドイツ戦勝記念日を迎え、ウクライナ情勢が一段と悪化するリスクも重荷となった。
資源関連株の一角は逆行高となった。8日、米欧日など主要7カ国(G7)の首脳はウクライナ支援などについて協議し、ロシア産エネルギーからの依存脱却の方針を示した。資源の先高観は一部の銘柄にはプラスな半面、日本経済全体にはマイナスとの見方があった。
東証株価指数(TOPIX)も大幅反落し、37.52ポイント(1.96%)安の1878.39で終えた。東証プライムの売買代金は概算で2兆9545億円。売買高は12億6342万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1598銘柄と約87%を占めた。値上がりは211、変わらずは28銘柄だった。