きょうは利益確定の動きが一気に強まった。前日の欧州株市場がほぼ全面高様相で独DAXは7連騰で最高値更新が続いたほか、米国ではNYダウが500ドル近い上昇をみせ、S&P500指数が最高値を更新するなどリスクオンの流れにあったが、東京株式市場はこれを引き継ぐことができなかった。
配当落ち分として日経平均には約264円の下押し圧力がかかったが、それ以上に全体相場は売り優勢の地合いだったといえる。機関投資家のリバランス売りが観測されるなか見送りムードが強まり、政府・日銀の為替介入思惑からドル高・円安基調に歯止めがかかったことも輸出セクター中心に買いが手控えられる要因となった。
午後に入ると年金勢とみられる売り圧力が強まり、下げ幅は一時700円を超えた。
QUICKによると、3月期末の配当落ちは日経平均を264円74銭下押しした。前日に財務省の神田真人財務官が「行きすぎた動きにはあらゆる手段を排除せずに適切な対応をとる」と述べ、足元の円安・ドル高をけん制したことも輸出関連を中心に重荷となった。午後の中ごろから年金勢など国内機関投資家による保有資産のリバランス(調整)の売りが出て、日経平均は下げ幅を拡大した。
下げ渋る場面もあった。前日の米株式市場で主要株価指数が上昇したことが支援材料で、日本株の先高観を背景に個人などによる押し目買いが入った。朝方は機関投資家が期末配当の受け取りに先回りして株価指数先物などに投資する「配当再投資」の動きも観測された。
期末の需給イベントなどが原因で、一時的に株価が押し下げられても上昇基調の腰を折るまでには至らないとの声が大きい。また、米国では29日に、米連邦準備制度理事会(FRB)が重視する2月の個人消費支出(PCE)物価統計の発表が控えているだけに、短期的な過熱感を冷ましながら、重要イベントの通過を待つ段階で、目先は値固め局面に変わりはないと考える向きが多いだろう。