きょうの東京株式市場はリスクオフ一色となり、前引け時点では全体の9割の銘柄が値を下げる展開だった。日経平均は一時600円以上の下げを見せフシ目の2万6000円台を割り込む場面もあった。
ただ、後場は引けにかけインデックス的な買いが入り下げ渋った。前日の米国株市場ではNYダウが一時大幅高に買われた後に失速し、結局6日続落で年初来安値更新という引け味の悪い展開となり、朝方は東京株式市場もこの地合いを引き継ぐ格好となった。
米長期金利の上昇を受けリセッション懸念が高まったことで、景気敏感株やハイテク株など幅広い銘柄に売りが顕在化した。iPhone14の売れ行き不振で増産が断念されたとの報道でアップル関連株への売りも全体相場を押し下げた。引けにかけては配当再投資による買い需要が下値を支えたとみられ、下げ幅を縮小し、日経平均は2万6000円台を維持した。
27日の米市場で長期金利が約12年ぶりの水準まで上昇し、ダウ平均は連日で年初来安値を更新した。28日の東京市場も景気下押し懸念から海運株や鉄鋼株、自動車株といった景気敏感株を中心に売りが広がった。市場では「これまで相対的に堅調に推移してきた日本株には、現金を確保したい海外投資家の売りが出やすい」との指摘があった。
午前に米アップルを巡る不安材料が出ると、日経平均は下げ足を速めた。アップルが新型スマートフォン「iPhone」の増産計画を断念したと一部メディアが伝え、電子部品株が一段安に沈んだ。
本日は権利付最終売買日で、配当などの権利取りを意識した買いも散見されたが、海外短期筋による仕掛け的な売りを強めているほか、内外の機関投資家はキャッシュポジションを高めているとの声も聞かれるなど、投資家心理は大きく悪化している。このため、欧米でのインフレ動向の落ち着きを確認するまでは、積極的にリスク資産に資金を振り向けるのは難しそうで、調整局面は長引く可能性もありそうだ。
東証株価指数(TOPIX)は反落し、前日比17.86ポイント(0.95%)安の1855.15で終えた。
東証プライムの売買代金は概算で3兆7248億円と、6月29日以来およそ3カ月ぶりの高水準。売買高は15億5474万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1011、値上がりは760、変わらずは66だった。