きょうはポジション調整の売りに押される地合いとなった。前日の欧州株市場が全面安商状となり、米国株市場でもNYダウが反落を余儀なくされた。だが、ナスダック総合株価指数や機関投資家のベンチマークであるS&P500指数は続伸し、いずれも最高値を連日更新、投資家のセンチメントがリスクオフに傾くのを防いでいる。東京株式市場では、米消費者物価指数(CPI)やFOMC、更に週末にかけて行われる日銀金融政策決定会合の結果待ちで、買い手控え感の強い展開だったが、下値を売り叩く動きもみられず、日経平均は軟調ながらも底堅さを発揮した。
ただ、外国為替市場で円相場がやや円高・ドル安に振れたことも重荷だった。海外短期筋とみられる先物売りが断続的に出て、日経平均の下げ幅は300円を超える場面があった。
日経平均はこのところ心理的節目の3万9000円を上回る水準で推移していたこともあり、利益確定の売りが出やすかった。FOMCの結果を見極めたいとの雰囲気も強く、日中値幅(高値と安値の差)は136円63銭と今年最小、東証プライム市場の売買代金は概算で3兆3653億円と今年2番目の少なさだった。
日銀が14日まで開く金融政策決定会合では国債の買い入れ減額に踏み切るとの観測が出ている。市場関係者は、「日銀が今回の会合で追加利上げを決めるとの見方も一部にあり、投資家の警戒感につながりやすい」と話していた。前日の米ハイテク株高を背景に半導体関連の一角は底堅く推移し、日経平均は下げ渋る場面もあった。
FOMCの注目点は政策金利見通し(ドットチャート)の修正だが、FOMC前には5月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。一部海外メディアでは「米CPIの結果をみてドットチャートの修正が決まる」といった報道もされており、インフレ圧力の強さが示されれば、ドットチャートの修正にも影響を及ぼし兼ねないようだ。ただし、FOMCを受けた弱い動きをみせたとしても、市場の関心は日銀の金融政策決定会合に移行する。週末には6月限の先物オプション特別清算指数算出(SQ)を控えていることもあり、先物主導での荒い値動きには注意しつつ、アク抜けを想定した押し目狙いのスタンスが意識されてくる可能性はあるだろう。