市場では相場の強弱感が対立し、方向感の乏しい展開だった。前日比での騰落幅としては終日売買停止のあった2020年10月1日を除くと、17年10月31日(06銭安)以来の小ささだった。
前日の米国株市場では主要株指数が高安まちまちの展開となり、NYダウが3日ぶりに反落した一方、ナスダック総合指数が最高値を更新した。朝方に日経平均は先物主導で安く始まったものの、その後は急速に下げ渋り、前引け時点では45円あまり高くなった。
外国為替市場では円安・ドル高が進み、輸出採算が改善するとの見方から、自動車の買いにつながった。鉄鋼や銀行といった景気敏感銘柄の一部にも買いが入った。指数寄与度の高いソフトバンクGの上昇が寄与する形となった。
ただ、後場寄りから全般再び軟化しマイナス圏に沈む展開に。半導体関連や電子部品株などの一角に利益確定の売りが出て指数を押し下げた。新型コロナウイルスの変異型に対する警戒感も上値を重くしている。
鉄道や不動産、百貨店など内需関連銘柄の弱さが目立った。新型コロナウイルスは感染力の高い変異型に置き換わりつつある。東京五輪・パラリンピックを機に人の動きが増え、国内の感染が再び拡大することへの懸念もあって、ワクチン接種の広がりに伴い経済活動が正常化するとの観測から買われていた銘柄に売りが出た。
米国の金融政策を巡っては、早期利上げ観測は和らいだものの、なお政策運営に不透明な要素が多い。積極的に運用リスクをとるムードに傾きにくく、上値の重さが目立った。
JPX日経インデックス400は小幅続落した。東証株価指数(TOPIX)も続落し、2.04ポイント安の1947.10で終えた。
東証1部の売買代金は概算で1兆9475億円。売買高は8億4248万株だった。東証1部の値上がり銘柄数は924、値下がりは1155、変わらずは114だった。