きょうは朝方から景気敏感株など中心に幅広く売りに押される展開で始まった。前日の米国株市場ではNYダウが4日ぶりに反落し、東京株式市場でも前々日に先物主導で500円強の上昇をみせた反動から目先利益確定の動きが表面化した。アジア株安なども嫌気された。
個別では企業の決算発表が本格化するなか、決算内容で明暗を分ける銘柄が多かったが、増収増益でもコンセンサスに届かない銘柄に売りがかさむなどで市場のセンチメントが悪化した。日銀の金融政策決定会合は、現状維持で織り込み済みだったことで全体相場に与える影響は限定的だった。朝方に下げ幅が400円を超える場面があったが、主要な銘柄には押し目買いが入り、下げ幅を縮めた。
2022年3月期業績の見通しを引き下げたファナックが大きく下げた。部品不足が下方修正の一因となっただけに、決算を控える一部の製造業の買い手控えにつながったとの見方があった。決算を発表した銘柄では、大日本住友や富士通、エムスリーの下げも目立ち、指数を押し下げた。
前日の米債券市場では長期金利が低下した一方で、短・中期金利は上がった。東京株式市場でも運用や貸し出しの利ざやが悪化するとの見方から、銀行や保険といった金融株の重荷となった。
一方、好決算を発表したスクリンや信越化は上昇し、ほかの値がさの半導体関連銘柄の一部の買いに波及。指数を下支えした。経済活動の再開に向けた前向きな動きを手がかりに空運や鉄道の一部にも買いが入った。
市場では「東ガスが業績予想の上方修正と期末配当予想の増額を発表し、株価が好反応をみせたが、しばらくは個別株物色が中心になりそうだ」との声が聞かれた。
JPX日経インデックス400は続落した。東証株価指数(TOPIX)も続落し、終値は前日比14.15ポイント安の1999.66で終えた。
東証1部の売買代金は概算で5兆699億円。大引けにかけてはTOPIXの算出にかかわる浮動株比率の定期見直しに伴う売買が膨らみ、約5カ月ぶりの高水準となった。売買高は22億1279万株だった。
東証1部の値下がり銘柄数は1143と、全体の約5割を占めた。値上がりは951、変わらずは89だった。