前日の米株式市場で半導体関連株が下げた流れが東京株式市場にも波及した。
きょうの東京株式市場は、引き続き買い手控えムードで主力株中心にリスク回避の売り圧力が顕著だった。前日の米国株市場で主要株指数が高安まちまちの展開だったこともあり手掛かり材料に事欠き、10日に発表予定の5月の米消費者物価指数の発表を前に、この結果を見極めたいとの思惑から心理的な節目とされる2万9000円が上値メドとして意識され、いったん持ち高調整の売りが優勢だった。
前日にフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が下落したこともあって、引き続き半導体関連株への売りが目立ち、地合い悪を助長する形となった。
ただ一方で、国内での新型コロナワクチンの大規模接種が進んでいることから空運や不動産、電鉄株といったアフターコロナ関連が買いを集め、全体指数を支えた。
新型コロナウイルスのワクチン接種に関しては、8日に職場や大学など職域接種の受付が始まった。接種者数の増加に伴い経済活動が正常化に向けて前進するとの期待は根強く、不動産や鉄道など内需関連株が上昇し下支えした。
市場関係者は「コロナ禍で上昇していた銘柄が利益確定の売りに押される一方、割安な銘柄や内需関連などに買いが入り、銘柄入れ替えの動きが強くなってきたのではないか」とみていた。
10日には5月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、来週には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。市場の関心は量的金融緩和政策の縮小(テーパリング)に向けた議論の有無に向かっており、積極的な売買を手控えるムードもあった。日経平均の日中値幅は130円にとどまり、今年最小だった。
JPX日経インデックス400は3営業日ぶりに反落した。終値は前日比48.68ポイント安の1万7666.45だった。東証株価指数(TOPIX)は7営業日ぶりに反落し、5.51ポイント安の1957.14で終えた。
東証1部の売買代金は概算で2兆3029億円。売買高は9億9445万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1106、値上がりは972、変わらずは115だった。