
29日まで開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)では大方の予想通り2会合連続の政策金利の引き下げが決まった。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は12月会合での利下げは既定路線ではないとの見解を示し、NYダウの重荷となった一方、エヌビディア<NVDA>は史上初の時価総額5兆ドルを達成。米国市場で半導体株が堅調に推移したことを背景に、東京株式市場では投資家のリスク許容度が高まった状態が続いた。
日銀は30日まで開いた金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.5%で据え置いた。据え置きは6会合連続。
その後に1ドル=153円台半ばまでドル高・円安が進み、日本株には追い風となった。日経平均は一時350円近く上昇。プライム市場の値上がり銘柄数は7割近くに上った。
値がさ株の一角には過熱感を意識した売りが出て、日経平均は午後に5万1000円を下回る場面があったが、下値を追う姿勢は限られた。トランプ米大統領は30日、中国の習近平国家主席と会談に臨んだ。その後、対中関税を10%引き下げると表明したものの、エヌビディア製半導体の扱いに関する具体的な情報はなく、投資家心理が一段と強気に傾くには至らなかった。日経平均は大引け間際に再び下げに沈む場面があったが、持ち直した。指数に絡んだリバランスの影響でプライム市場の売買代金は10兆円を超えた。TOPIXは3日ぶりに反発した。
前日の米株式市場ではナスダック総合株価指数が最高値を更新した。取引終了後に四半期決算を発表した米メタプラットフォームズは設備投資を引き上げる方針を示し、アルファベットは今四半期の設備投資額が増加した。人工知能(AI)・半導体の成長期待は根強く、2025年4〜9月期の決算発表を31日に控える東京エレクトロンなど値がさの半導体関連株に好業績を期待した買いが入った。
トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は30日、韓国での首脳会談を終えた。米国側は、中国がレアアース(希土類)の輸出を継続する見込みだと発表。合成麻薬フェンタニルの輸出についても対策を講じる約束をし、対中関税を10%引き下げると表明した。市場では「事前報道通りの内容だった」との声があった。
日経平均の上値は重く、下落する場面も多かった。FRBは29日まで開いたFOMCで2会合連続となる0.25%の利下げを決定した一方、パウエル議長は記者会見で次回12月会合での追加利下げに慎重な見方を示した。市場では「FRBが(金融緩和に慎重な)タカ派姿勢を示したことで、日銀の植田和男総裁は記者会見で追加利上げに前向きな姿勢を示しやすい」との見方があった。総裁の記者会見を前に、大引け前は様子見姿勢が強まりやすかった。
さて、東京株式市場は昨日と変わって日経平均よりトピックスがしっかりと上げる1日となった。プライム、スタンダード、グロース全ての市場で値上り銘柄数が上回っており内容的には日経平均より強さを感じさせる。また、月末接近で銘柄入れ替え需要もあったようで、東証プライム市場の売買代金は10兆円と過去最高を記録。流動性も十分な相場となっている。