朝方から売り物に押されがちで、日経平均は上昇一服となったが、後場に入って下げが加速した。前週末の米国株市場では景気敏感株やハイテク株などに根強い買いが続き、NYダウは4連騰、ナスダック総合株価指数も小幅ながら7連騰と強調展開を継続した。ただ、為替が前日から円高方向に振れており、東京市場ではこれが利食いを誘発する形に。更に後場は為替が一段と円高方向に振れたことなどを背景に、先物主導による裁定解消売りが噴出し、急速に下値を探る展開を余儀なくされた。市場では過去の米雇用統計が下方改定されるとの思惑が売りを誘導したとの見方もある。個別銘柄を見ても値下がり銘柄数は後場に急増し、プライム市場全体の83%の銘柄が下落した。一方、売買代金は4兆1000億円台で8月に入ってからは最低水準となっている。
日経平均は前週に3000円以上上昇していたことから、急伸の反動で朝方から売りが先行した。過去の米雇用統計が改定により大幅に下方修正となるとの観測が一部で伝わると、19日午後の東京外国為替市場で円相場が一時1ドル=145円台前半まで上昇した。円高進行に歩調を合わせて日経平均先物には海外短期筋などから断続的な売りが出た。
日経平均株価を対象としたオプション価格から算出する日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は一時30台に上昇した。前週は円高一服とともに日経平均が大幅高になったとあって、揺り戻しが懸念されていた。「もともと警戒されていたなか、米雇用の下方修正観測で円高が一気に進んだため、ヘッジ目的の株売りが膨らんだ」との声が聞かれた。
日本株の下値の堅さを意識した買いが入り、日経平均は午前に上昇に転じる場面もあった。海外の中長期目線の投資家が日本株の割安感に着目して買いを入れているとの見方が支えとなったが、買いは続かなかった。
さて、東京株式市場は前週末の米株続伸や企業業績の底堅さを反映し一時は続伸するなど底堅い動きを見せていたが、徐々に上値の重さや円高が加速する為替を嫌気して利食い売りが優勢となってしまった。ケイ線的には上値75日線(3万8655円)を含め25日線(3万7748円)など、3万8000円台前後には多くの上値抵抗ポイントがあり、ここらが最初の戻りの限界点となった感があるだろう。