前日の米株式市場では、NYダウは250ドル安と続落した。米長期金利上昇が嫌気されたほか、中東情勢の緊迫化による原油高が警戒された。これを受け、日経平均株価は売り先行でスタートし、一時下げ幅は300円を超した。ただ、前日も600円超の下落を記録していたこともあり、下値には買いが流入。一時前日比でプラス圏ぎりぎりまで値を戻したが、その後は再び値を下げた。イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの地上侵攻が近いとの見方も浮上するなか、上値は重い展開が続いた。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の金融引き締めに積極的な「タカ派」発言をきっかけとした米株安を受けて朝方は成長(グロース)株に売りが目立った。19日夕の米債券市場で長期金利が一時5%台まで上昇したこともCTA(商品投資顧問)などの機械的な売りにつながったもようだ。中東情勢の一段の悪化への警戒が根強いなか、週末の持ち高調整の売りも出やすかった。
20日午前には日経平均のオプション価格から算出する日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)が年初来高値を一時上回った。金融資産の変動率に着目して売買するリスク・パリティー戦略を採用する機関投資家の売りが出たとの声が聞かれた。
ただ、売り一巡後は前日終値(3万1430円)近辺まで下げ渋る場面もあった。来週から本格化する主力企業の2023年4〜9月期決算で業績見通しの上方修正が相次ぐとの観測から下値では押し目買いが入った。
来週は23日のニデックを皮切りに主要企業の2023年9月中間決算発表が始まる。今年度後半に向けた需要回復への期待感があるだけに、決算内容を確認したいところだ。また、中東情勢の行方も気掛かりとなっている。「ガザ地区でイスラエルによる地上戦が近い」などと報じられているだけに、紛争が激化するのかどうかを見定める必要もありそうだ。また、米国の金融政策の行方も見極めたいと考える投資家も多く、不透明要因が多い。このため、目先的には個別に材料のある銘柄を中心にした選別色が一段と強まりそうだ。