きょうはリスク選好の地合いが鮮明となった。12月の権利付き最終売買日にあたり損益通算目的の駆け込み売りも想定されたが、新年の株高を見込んだ買いの勢いが勝った。前日の米国株市場はクリスマス明けで方向感が出にくかったもののNYダウ、ナスダック総合株価指数ともに上昇し、これを受けて東京市場でも買い安心感が広がった。半導体関連など日経平均寄与度の高いハイテク系値がさ株に買いが集まり、全体指数を押し上げた。取引時間中は7月3日につけた年初来高値3万3753円を上回って推移する場面もあったが、その後は伸び悩む形になった。
年末ラリーで米国株の上昇が続いているうえ、日銀は大規模金融緩和を継続するとの観測から幅広い銘柄に買いが入った。米通信大手TモバイルUS株を無償取得すると発表したソフトバンクグループ(SBG)が大幅高となり、指数を押し上げた。
フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は過去最高値を更新した。東京株式市場でも半導体関連株を中心に電気機器、精密機器など値がさのハイテク株が買われた。海運株や、原油高を受けた石油株の上昇も目立った。
日銀が取引開始前に発表した12月の金融政策決定会合の「主な意見」で、委員らの利上げに慎重な意見が目立った。市場では早ければ来年1月にもマイナス金利解除に動くとの予想もあったが、日銀の慎重姿勢で政策正常化が遅れるとの見方が強まった。
日経平均が7月に付けた高値が近づくと買いの勢いは弱まり、伸び悩む場面もあった。高値更新は明日以降に持ち越された形だが、市場の先高感は根強い。ピクテ・ジャパンの糸島孝俊ストラテジストは「円高警戒の後退に加え、米国のインフレや金利上昇懸念が薄れている。2024年に始まる新たな少額投資非課税制度(NISA)への期待感も追い風」とみていた。
日経平均は大幅に続伸し、掉尾の一振への期待感が再び盛り上がりつつある。残り2日で、日経平均が終値でバブル後の戻り高値を更新してくれば、新春相場に期待が持てるとの声もあり、戻り高値更新をきっかけに一段と先高感が高まってくる可能性がある。ただ、懸念材料は米景気の動向だ。足元でインフレ沈静化を示す経済指標が相次いでいるが、米景気がソフトランディング(軟着陸)するのか、リセッション(景気後退)入りするのかで、見方は大きく変わるだけに警戒が必要との見方もあるだろう。