朝方から主力株をはじめ幅広く買いが先行した。前週末2日の取引終盤はトランプ米大統領が新型コロナウイルス検査で陽性反応が出たことが明らかとなり、先物を絡め全体相場は下押したが、きょうはその買い戻しが全体を押し上げる格好となった。一時は重症化が取り沙汰されたトランプ米大統領だが、5日にも退院すると伝わったことが、マーケット心理を強気に傾けた。東証1部の全銘柄の9割近くが上昇した。
トランプ氏の感染が伝わった2日、市場に動揺が走り、日経平均株価は一時、節目の2万3000円を下回る場面があった。ただ同日の欧米主要株価指数の下落率は1%に満たないうえ、上昇した指数もあり、相場への影響は限定的との見方が優勢になった。
週末にもトランプ氏の病状を巡る観測が様々浮上するなか、4日(日本時間5日早朝)にトランプ氏が病院外で事態を見守る支持者の前に姿をあらわしたことで、政策遂行能力への不安感がいったん後退した。米ダウ工業株30種平均の先物相場が5日の東京市場の取引時間中にも堅調に推移したことも投資心理を改善させた。値ごろ感も働きやすく、買いが優勢だった。
景気刺激策を巡る米国の政策協議が進むとの期待も膨らんだ。経済活動の再開を期待した景気敏感株物色の流れが東京市場でも広がった。幅広い銘柄に物色が向かったが、とりわけ鉱業や鉄鋼、陸運や海運に買いが集まった。
もっとも米大統領選を巡り、市場での先行き不透明感はなお高まっている。民主党候補のバイデン前副大統領の支持が広がっており「当面は政治情勢を見守りたい」との声も高まっている。買いが続くとの見方は多くない。
JPX日経インデックス400も反発。終値は前週末比246.64ポイント(1.70%)高の1万4722.75だった。東証株価指数(TOPIX)も反発し、28.03ポイント(1.74%)高の1637.25で終えた。
東証1部の売買代金は概算で2兆711億円。売買高は10億4647万株だった。東証1部の値上がり銘柄数は1905、値下がりは226、変わらずは46銘柄だった。