追加の米経済対策について早期成立は困難との警戒感がくすぶっていることが投資家心理を冷やし、利益確定の売りが優勢だった。
トランプ米大統領と民主党のペロシ下院議長が追加の経済対策案について非難の応酬を続けていることから景気の先行きに対する不透明感が強まった。前週に大きく上昇した海運株や鉄鋼株などの景気敏感株が売られ、朝方に下げ幅は一時100円を超えた。
一方で中国・上海総合指数が大幅高となるなどアジア株が総じて堅調に推移した。日本時間12日午後の米株価指数先物も上昇したことで押し目買いが入り、下値を支えた。
「日経平均は2万3500円を超えると警戒感が強まることに加え、2020年4〜9月期の決算の中身を見ないと上値を追うのは難しい」と指摘した。
個別では業績などに応じた上げ下げが見られたが、「個人投資家中心の売買だった」とされ、同業他社に物色が広がることはなかった。
ただ、「閑散に売りなし」の相場格言通り、大きく売り込む投資主体も少なく、日経平均は下げ幅も限定的だった。業種別指数でも目立って値下がりした業種はなく、静かな一日だった。
市場からは「夜間の米株先物がしっかりで、中国株が大幅高している割りには戻りが弱い。米追加経済対策の行方や、決算、米大統領選挙などイベントを控え、国内に手掛かり材料のない日本市場は見送りの印象だ」との声が聞かれた。
JPX日経インデックス400は続落し、終値は前週末比39.19ポイント(2.26%)安の1万4783.25だった。東証株価指数(TOPIX)も続落し、4.03ポイント(0.24%)安の1643.35で終えた。
東証1部の売買代金は概算で1兆7455億円、売買高は8億5007万株で、それぞれ8月27日、同24日以来の低水準だった。東証1部の値下がり銘柄数は1276と、全体の約6割を占めた。値上がりは815、変わらずは88だった。