前日の米国株市場で主要株指数が揃って上昇し、米長期金利の上昇一服を受けハイテク株への買いが目立ったことから、東京株式市場でも朝方はこの地合いを引き継ぐ形で広範囲に資金が流入した。日経平均は一時300円以上高い場面もあった。しかし、その後は3月期末を控えた機関投資家の決算対策売りが上値を押さえる格好となり、後場に入ると急速に地合いが悪化した。
経済活動の正常化への期待感から、2月以降の上昇相場のけん引役となってきた銀行、鉄鋼、海運などの景気敏感業種への売りが目立った。空運株や百貨店株なども大きく下落した。
半面、東エレクなどの半導体関連株やエムスリーなどのグロース(成長)株の一角は上昇した。米長期金利の上昇が一服するなか、ハイテク株を中心に前日の米株式相場が上昇した流れを引き継いだ。もっとも、バイデン米政権が近く総額3兆ドル(約330兆円)の新たな経済対策を提示する見通しと伝わり、国債増発による米長期金利の一段の上昇への警戒感も強く上値は限られた。
市場では「個人投資家中心の相場で、買い意欲が持続しなかった」との指摘が聞かれた。空運業や海運業など人やモノの動きに関係する銘柄が売られがちとなり、「変異した新型コロナウイルスが経済の先行きに悪影響を及ぼすとの懸念も消えていない」との声も聞かれた。
JPX日経インデックス400は続落した。終値は前日比164.86ポイント安の1万7746.30だった。東証株価指数(TOPIX)も続落し、18.70ポイント安の1971.48で終えた。
東証1部の売買代金は概算で2兆8900億円。売買高は13億7129万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1748と約8割を占めた。値上がりは391銘柄、変わらずは55銘柄だった。