前日発表の米10月消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.7%上昇と市場予想(8.0%)を下回った。市場にはインフレピークアウト期待が強まり、前日の米株式市場では、NYダウが1201ドル高と急反発。米国市場が急伸した流れを受け、日経平均株価は大幅高となり2万8000円を回復、9月13日(2万8614円)以来およそ2カ月ぶりで、上げ幅は約1カ月ぶりの大きさだった。
10月のCPIが市場予想を下回る伸びにとどまり、米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを緩めるとの見方から米株式相場が急伸。急速な米利上げに伴う景気減速懸念が後退し、投資家心理が上向いて活発な物色につながった。
これまで株価がさえなかった値がさのハイテク株を中心に買いが強まり、東エレクとアドテストの2銘柄で日経平均を170円ほど押し上げた。
午後に岸田文雄首相は不適切な発言をした葉梨康弘法相を更迭する意向を固めたと伝えられたが、反応は鈍く、一方で香港ハンセン指数などアジア株高が支えとして意識された面もある。
日経平均株価は75日線水準を大きく上抜けたことで、これまでのレンジ2万5000〜2万7000円のレンジから2万7000〜2万9000円のレンジに変わったと見る投資家が増えるなど、年末高に向けて先高感が高まりつつある。一方、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)までには、引き続きインフレ統計の発表が残っており、物価上昇の明確な鈍化が確認できなければ、日経平均の本格的な上昇トレンド入りは難しいと慎重に見る向きも依然残っており、見方が分かれている。