
米雇用情勢の悪化を背景に6日の米株式相場が下落したのを受け、海外短期筋が株価指数先物に断続的な売りを出した。人工知能(AI)関連のソフトバンクグループ(SBG)などが売りに押され、日経平均を下押しした。
前日の米株式市場でNYダウ工業株30種平均は398ドル安の4万6912ドルだった。
ナスダック指数も下落した。米雇用情勢への警戒感が台頭し売りが優勢だった。米国株が下落した流れを受け、東京株式市場も値を下げてスタート。AI・半導体関連などハイテク株を中心に売りが膨らみ、日経平均株価の下げ幅は一時1200円を超え4万9600円台まで売られる場面があった。
指数への寄与度が高いアドバンテストやソフトバンクグループが下落し、全体相場を押し下げた。また、前日に決算発表した味の素が制限値幅の下限(ストップ安水準)まで売られたのも重荷となった。
AI関連株の上昇がけん引する形で10月の日経平均は16.64%高と1990年10月(20.06%)以来の上昇率を記録した。市場では「これまでの日経平均の上昇が行き過ぎとの見方が反動安につながっている」との見方があった。
為替相場が一時1ドル=152円台後半へ円高が進んだことも警戒された。ただ、後場に入ると日経平均株価の下げ幅は縮小。5万円割れの水準では押し目買いが流入した。
午後に日経平均は急速に下げ渋った。高市早苗首相は7日午後の衆院予算委員会で、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化目標を巡り「単年度のPBという考え方については変更する、取り下げると考えて頂いて結構だ」と述べた。高市政権下で積極財政にかじを切りやすくなるとの思惑が広がり、海外投機筋が株価指数先物に買い戻しを入れた。