
朝方から主力株中心に投資資金が流入し日経平均が続急伸、上げ幅は一時800円を超える場面があった。米中間の関税協議の進展を背景に前日の米国株市場ではNYダウが1100ドルを超える大幅高となったほか、ナスダック総合株価指数は4%を超える急騰で上昇率はダウを上回った。米株高に加え、朝方はドル・円相場も1ドル=148円台まで円安が進んでおり追い風材料となった。
日経平均は朝方に800円超の大幅高で3万8000円大台ラインを突破した。ただ、朝高後は短期筋の利益確定売りが上値を押さえる展開に。3万8500円近辺で弾き返され、その後は3万8000円台前半でもみ合う展開に移行した。もっとも主力株の一角が買われたものの、利食われる銘柄も相次ぎ、大引け時点では値下がり銘柄数が値上がり数を上回った。売買代金は6兆円台と高水準。
12日発表の米中合意では米国は14日までに累計145%の追加関税を30%に、中国は同125%の追加関税を10%にそれぞれ引き下げる。米中貿易摩擦による世界の景気悪化懸念が後退し、12日の米株式相場は大幅に上昇した。
東京株式市場でも中国関連銘柄に位置付けられる安川電とファナックが大きく上昇。トヨタや三菱UFJを含む、時価総額が大きい大型株で構成される「TOPIXコア30」の上昇率が目立ち、海外投資家が大型株に買いを入れた。トランプ米大統領が薬価引き下げの大統領令に署名すると表明したことで12日に大きく下落した第一三共など医薬品も軒並み反発した。
買い一巡後の日経平均の上値は重かった。13日の国内債券市場で長期金利は一時、1.465%と相互関税の詳細発表前の4月2日以来およそ1カ月ぶりの高水準をつけた。金利上昇が業績の重荷となる不動産や建設では下げる銘柄が目立った。日経平均は4月後半から上昇基調にあり、高値圏では利益確定目的の売りも出やすかった。トランプ米政権の関税政策の影響が顕在化するとみられる4月の米消費者物価指数(CPI)が13日に公表となるのを前に様子見姿勢も強まった。
市場関係者は今回の米中関税の引き下げ合意で「いったんポジティブな材料が出尽くした」と話す。7月に迫る相互関税の上乗せ税率の延長期限や、8月の米中の追加関税の引き下げ終了期限を前に「米中の関税などを巡るにらみ合いはしばらく続きそう。楽観的な見方から株価が上値を追う局面はそろそろ終わりを迎える」との見方も示した。