前日の米国市場では主要株価指数が上昇したものの、日銀会合の結果待ちのなか、米株高の影響は限られた。そのため、前場は方向感の定まらない展開だった。ランチタイムで判明した日銀会合の結果は金融政策の現状維持が決まった。外為市場の一部では、マイナス金利解除など政策変更への思惑が根強かっただけに、政策修正がなかったことからドル買いが強まり、一時1ドル=143円台後半へと円安が進んだ。これを受け、先物には買い戻しの動きが強まったほか、後場に入ると、裁定買いの動きから幅広く物色された。日経平均は3万3000円台を回復、上げ幅は450円を超えた。
日銀は19日、現行の大規模な金融緩和を維持すると決めた。政策修正を想定して株価指数先物を売り建てていた短期投資家による買い戻しが活発化し、日経平均は取引終了にかけ上げ幅を広げ、この日の高値で終えた。現状維持発表後、外国為替市場では円安が進展し、自動車など輸出関連にも買いが広がった。
日銀が正午前に金融緩和策の据え置きを公表すると株価指数先物が急伸し、後場の日経平均の急騰につながった。植田和男総裁が7日に「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言したことをきっかけに、12月会合で政策修正に踏み切るとの観測から一部の短期筋が売り持ち高を積み上げていた。現状維持の発表を受け、一斉に買い戻しの動きが強まった。
日銀の会合結果を受けて円相場が対ドルで一時1ドル=143円台後半まで下落すると、トヨタが上昇に転じるなど輸出関連株に買いが優勢となった。前日のNYダウ工業株30種平均が小幅ながら8日続伸して過去最高値を連日で更新したことも支えとなった。
日経平均は午前に下げる場面もあった。日本時間18日、米鉄鋼大手USスチールを141億ドル(約2兆円)で買収すると発表した日本製鉄は一時、前日比6%あまり下げるなど、一部主力株の下落が影響した。
市場では「今回の決定会合は従来の方針を維持されたが、来年1月22−23日に決定会合が予定されており、マイナス金利解除への思惑は続きそうだ」との声が聞かれた。
投資家の関心は今夕に行われる植田総裁の会見内容である。来年以降のマイナス金利解除に関して何らかの示唆があるかがポイントとなり、金融政策の正常化に対する市場の思惑を後退させる内容となれば、円安がさらに加速し、年末高に向けた動きが再び強まる可能性があるだろう。日経平均は上値のめどとみられた25日線水準をクリアしてきたため、掉尾の一振に対する期待が高まりそうだ。一方、将来の金融正常化について言及するなら、外為市場で再び円高が進み、反動安となる可能性あり、相場は分岐点に差し掛かっていると言えるだろう。