
前日の米国株市場では半導体セクターを中心に大手ハイテク株への買いが顕著となり、ナスダック総合株価指数が大幅高を演じた。これを受けてきょうの東京市場では投資家のセンチメントが改善、幅広い銘柄に買い戻しの動きを誘発した。米国では労働市場の軟化を理由にFRB高官のハト派的な発言が相次ぎ、12月のFOMCで利下げ実施への期待感が高まるなか、全体強気相場を維持している。東京株式市場にとっても米株高は追い風材料となるが、一方で長期金利の上昇に対する懸念も根強い。日経平均寄与度の高いソフトバンクグループ(SBG)が急落したことが、マーケットに慎重ムードをもたらしている。個別ではバリュー系の中小型株への投資資金シフトが観測された。アドバンテストや東京エレクトロンが買われるなど一定の支えになった。
値上がり銘柄数と値下がり銘柄数はいずれも800に届かずほぼ拮抗した状態だが、わずかに値下がりの方が多い。
日経平均は午後には下落に転じる場面があった。SBGは一時、10%あまり下げ、1銘柄で日経平均を340円下押しした。グーグルが18日に発表した生成人工知能(AI)の最新の基盤モデル「Gemini(ジェミニ) 3」が高い評価を集めている。SBGが出資する米オープンAIとの競争激化を警戒した売りが出やすかった。
市場関係者は「AI関連銘柄の中で明暗が分かれ始めている印象で、今後は一段と選別物色が進む可能性がある」と話す。これまで割高な水準まで買われてきたAI関連銘柄は調整色を強め、年末にかけて日経平均は5万円近辺で横ばい圏での推移が続くともみていた。
さて、東京株式市場は日経平均もトピックスも伸び悩むやや重苦しい展開となった。チャート上では日足陰線を続けており上値を買い上がる主体が少なくなっている様子がうかがえる。この辺りからの戻りの鈍さは25日移動平均線(5万141円)上を回復する力のなさが表れており、調整はもう少し続きそうな雰囲気もある。国内で長期金利が高めに推移していることもひとつの懸念要因だろう。