外国為替市場で円相場が一時1ドル=140円台まで上昇したのを受け、輸出株を中心に幅広い銘柄が売られた。
前日のNYダウは、金融株や石油関連株などが下落し92ドル安と反落した。この流れを受けた東京株式市場も値を下げてスタートし、寄り付き後に3万6000円台を割り込んだ。
その後、日本銀行の中川順子審議委員が講演で追加利上げに前向きな姿勢を示したことから、為替相場で円高が進行。午後には一時1ドル=140円70銭前後まで一段と円高が進んだ。これを受け、東京株式市場では半導体関連や自動車株などが売られ、日経平均株価は一時905円安まで下落した。ただ、下値には買いが入り、引けにかけ下げ幅は縮小した。
東証プライム市場に上場する銘柄の約93%が下落する全面安だった。
日本時間の11日午前10時から開催された米大統領選のテレビ討論会は、民主党のハリス氏が共和党のトランプ氏に勝利したとの見方が強まった。同討論会を経て、海外短期筋が株や為替に投機的な売買を膨らませたとの観測も出ていた。
米CNNがテレビ討論会後に発表した緊急世論調査によると、ハリス氏のパフォーマンスが良かったとの回答が63%となり、トランプ氏の37%を上回った。法人税率の引き下げなどを公約にかかげるトランプ氏が劣勢となれば、短期的には株式市場にとって逆風になるという思惑から株価指数先物への売りが強まった。
米連邦準備理事会(FRB)が17〜18日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに踏み切るとみられており、米長期金利が低下している。一方、日銀の中川順子審議委員が11日、秋田県の金融経済懇談会で経済・物価見通しが実現していくようなら「金融緩和の度合いを調整していくことになる」などと発言。日銀の追加利上げによる日米金利差縮小の思惑が円買い・ドル売りを誘った。円相場は後場に1ドル=140円70銭台と対ドルで年初来の高値を付け、トヨタなどが輸出採算悪化を懸念した売りで大きく下落した。投資家心理が悪化するなか、さらに幅広い銘柄に売りが及んだ。
日本時間今夜に8月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、13日には株価指数先物・オプション9月物の特別清算指数(SQ)算出もある。このところ相場が下方向に傾くなかで投機的な売りが出やすかったとみられる。オプション市場では3万4000円台のプット(売る権利)の買いが目立った。
これまでの下げで値ごろ感が強まったとみた国内投資家の買いで日経平均は下げ幅を縮小する場面もあったが、買いの勢いは限られた。