
米利下げ観測を背景にした前日の米株式相場の上昇を追い風に、一段とリスク選好に傾いた海外投資家などの買いが優勢だった。値がさ株を中心とした上昇で一時は500円強高い4万4800円台後半と、次の節目である4万5000円を視野に入れる場面もあった。
前日の米株式市場は、NYダウが617ドル高と大幅反発し最高値を更新した。米8月消費者物価指数(CPI)の上昇率は市場予想と一致し米利下げに対する期待が強まった。ナスダック指数も最高値を更新した。これを受けた東京株式市場で、日経平均株価は買い先行でスタート。AI関連株物色の流れに乗り半導体株などが買われ、一時上昇幅は500円を超えた。
来週16〜17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが決まるとの見方が、引き続き日米の株式相場を押し上げている。米労働市場の悪化を受けて、米連邦準備理事会(FRB)が年内に連続して利下げするとの思惑も買いを誘った。人工知能(AI)市場の成長期待も引き続き投資家心理を明るくしており、アドテストやフジクラに買いが続いた。
ただ、高値警戒感も強まるなか、午前10時頃には上昇幅は170円台に縮むなど、買い一巡後に伸び悩む場面があった。
しかし、後場に入り再び値を上げた。明日からの3連休を控えやや様子見姿勢も強まったが、結局3日連続で最高値を更新し取引を終えた。TOPIXも最高値となった。
値がさやAI関連の一部に買いが集まる一方、スクリンやディスコといった半導体関連の一角には売りが出た。キリンHDといった食料品や、陸運など内需関連でも下げる銘柄が目立った。相場の過熱感を意識した国内機関投資家などからは利益確定売りが出て、日経平均の上値を抑える場面もあった。
12日に算出を迎えた株価指数(日経平均)オプションと日経平均先物9月物の特別清算指数(SQ)値は、QUICK試算で4万5016円28銭だった。現物の日経平均は連日で最高値を更新したが、SQ値は上回らなかった。