前週末とは一転してリスク選好ムードの強い地合いとなった。日経平均は前週末に先物主導で660円あまりの急落をみせたが、同日の米国株市場では注目されたパウエルFRB議長の講演がややタカ派寄りとみられたにもかかわらず、NYダウ、ナスダック総合株価指数ともに上昇した。これを受け、きょうは東京市場でも空売り筋の買い戻しの動きに火がついた。原発処理水の海洋放出を巡り中国で日本製品の不買運動などが起きていることから、インバウンド関連株への売りが目立ったが、一方で前週末に売り込まれた半導体関連株が大きく出直る展開となり全体相場を押し上げた。
外国為替市場で円安が進んでいることや、アジア株市場がほぼ全面高に買われたことも、投資家心理を強気に傾けた。
日経平均は大引けにかけて株価指数先物主導で上げ幅を拡大した。国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を控えた前週末は600円を超える下げとなっていた。実際の講演内容は金融引き締めに積極的なタカ派寄りだったものの、前週末の米株式相場が上昇して終えたことで短期筋が先物の買い戻しに動いた。米金融政策の先行きに対して様子見の投資家も少なくないなか、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて今後も短期的な売買に相場が大きく振らされる展開を予想する見方が市場では出ていた。
上海総合指数と香港ハンセン指数の上昇も先物買いを誘った半面、百貨店や陸運、空運といった中国の影響度が高いインバウンド(訪日外国人)関連には売りが広がった。東京電力福島第1原子力発電所の処理水放出を巡って、中国で抗議や嫌がらせが相次いでいると報じられたほか、日本への団体旅行キャンセルの動きも一部メディアで伝わっている。中国では景気低迷が続き、個人消費も振るわないなかで、インバウンド消費の回復がさらに遠のくとの見方につながった。JALは午後に下げ幅を拡大した。
今週は米国で、31日に7月の個人所得・個人支出や、9月1日に8月の雇用統計、ISM製造業景況指数といった重要経済指標の発表が予定されている。米国のインフレに鈍化の兆しが鮮明になるのか、それともインフレが加速する結果になるのか見極めたいと考える向きが多く、目先的には3万2000円台を固める展開が続きそうだ。
東証株価指数(TOPIX)は反発し、前週末比33.41ポイント(1.47%)高の2299.81で終えた。JPXプライム150指数も反発し、大引けは前週末比16.04ポイント(1.59%)高の1024.98だった。