南アフリカなどで見つかった新型コロナの変異ウイルス「オミクロン型」の感染拡大への警戒が続いた。東証1部の9割以上の銘柄が下げるなど幅広い銘柄に売りが出た。
前週末の欧米株市場が大きくリスクオフに傾いたことを受け、朝方から主力株をはじめ広範囲に売られる展開でスタート。新型コロナの新たな変異株であるオミクロン型が経済活動を妨げるとの思惑が、景気敏感セクターを中心に売りのターゲットとなった。
前場は空売りの買い戻しなどで日経平均は戻り足に転じ一時はプラス圏に浮上する場面もあったが、後場寄りに大口の売りが出て再び下げ幅を拡大した。
日経平均は500円を超える下げで2万8100円台まで水準を切り下げた、引けにかけやや下げ渋ったものの10月13日以来およそ1カ月半ぶりの安値圏で着地した。
岸田文雄首相は29日午後、オミクロン型の感染防止の観点から、30日午前0時より新規の外国人の入国を原則停止すると発表した。国内経済活動の正常化が遅れるとの懸念から、鉄道株や空運株への売り圧力が強まった。
日経平均は午前、小幅ながら上げに転じる場面があった。足元の相場急落で自律反発を見込んだ買いが下支えした。感染拡大への思惑が、昨年コロナ禍において株価が堅調だった銘柄の物色を誘い、エムスリーや任天堂は逆行高となった。
日経平均は総じてマイナス圏での荒い値動きが続いた。「オミクロン型の感染状況など詳しい内容が明らかになるまで、日経平均は、しばらくは落ち着きどころを探る動きになるだろう」との指摘があった。
JPX日経インデックス400、東証株価指数(TOPIX)はともに続落した。TOPIXは36.50ポイント安の1948.48で終えた。
東証1部の売買代金は概算で3兆3942億円、これは今月4日以来の水準となった。売買高は15億3062万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1989、値上がり銘柄数は159、変わらず銘柄数は32だった。