11日の米株式市場では、NYダウが473ドル安と大幅続落。インフレ懸念の高まりを背景に景気敏感株などに売りが膨らんだ。ただ、10日に急落したナスダック指数は下げ渋った。この流れを引き継いだ東京株式市場は、朝方は上昇して始まったが、買い一巡後はマイナス圏に転落。アジア市場で台湾・加権指数が急落していることなども警戒された。後場に入り一段安となり、一時700円を超す下落で2万8000円を下回る場面があった。ただ、下値には買いが入り、引けにかけては下げ幅を縮小した。
世界的なハイテク株安が顕著になるなか、半導体関連の一角やソフトバンクグループ(SBG)に売りが膨らんだ。海外短期筋などの売りで相場の下げが加速し、鉄鋼や海運といった景気敏感株にも売りが波及した。
日本時間今夜発表の4月の米消費者物価指数(CPI)がインフレ圧力の強さを示す内容となれば、米連邦準備理事会(FRB)が量的金融緩和の縮小を議論する時期が早まるという見方が広がった。
日経平均は前日に急落したとあって「短期的に下げすぎ」とみた投資家の買いも入った。朝方には200円超上昇し、日経平均株価の高値から安値を引いた日中値幅は942円と20年3月以来の大きさだった。
市場からは「26週線を割り込み、中期上昇トレンドラインから下に抜けており、早期に回復しないと調整が続く可能性がある。米インフレ懸念を背景にハイテク・グロース(成長)株売りが根っこにあり、当面はボラタイルな動きになりそうだ」との声が聞かれた。
JPX日経インデックス400は続落した。終値は前日比259.44ポイント安の1万6914.09だった。東証株価指数(TOPIX)も続落し、27.97ポイント安の1877.95で終えた。
東証1部の売買代金は概算で3兆4014億円。売買高は15億2939万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1795と、全体の約8割を占めた。値上がりは349銘柄、変わらずは48銘柄だった。