
前日の米ハイテク株高を受けた値がさの半導体関連株買いが相場を押し上げ、2月19日以来の高値となった。節目の3万9000円を目前に上値では利益確定や戻り待ちの売りも出やすかったが底堅さが目立ち、後場は上げ幅を拡大する展開となった。
イスラエルとイランが停戦で合意したと伝わったことで、中東の地政学リスクの後退は追い風材料として意識されたものの、上値では戻り売り圧力が強い。前日に米連邦議会下院での議会証言を行ったパウエルFRB議長は、早期利下げには改めて慎重な姿勢を明示したが米長期金利は低下しており、東京株式市場でもこれがポジティブに捉えられている。
主力株を中心に半導体セクターを買い戻す動きが活発で、市場センチメントの改善につながった。
日経平均はこの日のほぼ高値水準で引けたが、個別銘柄は売り買いが錯綜する状況で、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を上回った。売買代金は前日とほぼ同水準で4兆円を連日で上回った。
市場では米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待が根強く、米長期金利の先高観後退がハイテク株買いにつながっているという見方もあった。
日銀の田村直樹審議委員は25日、福島県の金融経済懇談会で物価の上振れリスクなどに言及した。これを受けて日銀の追加利上げを意識した目先筋の円買い・ドル売りがやや増えて日経平均は下げる場面もあった。しかし、利上げに対しては慎重な見方も市場では多いことから、円買い・株売りの勢いは強まらなかった。後場は円相場の伸び悩みが株価指数先物を通じた短期筋の買いを誘い、日経平均は強含んだ。
中東情勢を巡っては過度な警戒感は後退しているものの、イスラエルとイランの停戦合意の実現には不透明感もあり、引き続き警戒が必要だろう。また、直近は中東情勢に目を奪われていたが、米国との関税交渉の行方も依然として不透明で、見極める必要もありそうだ。もっとも海外勢の買いは継続していることで下を売り込む流れになりづらく、押し目狙いのスタンスに向かわせそうである。