米金融引き締め長期化観測を背景に米長期金利の上昇が続いていることから、値がさの半導体関連株などが売られ指数を押し下げた。足元の円高・ドル安傾向も心理的な重荷となった。
きょうは先物を絡め不安定な地合いで、日経平均は上下に荒い値動きとなった。前週末の米国株市場では6月の米雇用統計に注目が集まったが、雇用者数の増加幅が市場コンセンサスを下回った一方、平均時給の伸び率は予測を上回り、FRBによる利上げ長期化への懸念からNYダウが3日続落した。
これを受けて、東京株式市場でも主力株中心に買い手控えムードとなった。外国為替市場でドル安・円高が進んだことも輸出株中心に下げを誘発、ETF分配金捻出のための売り圧力も意識され日経平均の下げは一時300円を超えた。更に今週発表される6月の米消費者物価指数(CPI)の結果を待ちたいという思惑も上値を重くした。
7日発表の6月の米雇用統計で平均時給の伸びが鈍化せず、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが継続するとの見方が強まった。米長期金利が上昇したことから、バリュエーション(投資尺度)面で割高感の強まったグロース(成長)株に売りが出た。
外国為替市場における円高・ドル安進行を警戒し、自動車株など輸出株の一角も売られた。上場投資信託(ETF)の分配金拠出に伴う売りも意識され、株価指数先物主導で日経平均の下げ幅は一時300円を超えた。
日経平均は朝方には続落を受けた自律反発狙いから上げ幅が一時170円を超えたが、続かなかった。「いまは上値を追う材料が乏しく、米金融引き締め観測の強まりもあり利益確定売りが進んでいる」と指摘した。
短期的な需給悪化要因はきょうで一巡するため、あす以降の需給改善を見越した買いに日経平均は一時プラスに転じるなど日本株への先行き期待は依然として高い。また、欧米の年金基金などが日本株を調査中との観測が広がっているほか、国内の機関投資家など買い遅れている向きも少なくなく、押し目を拾う動きが想定される。ただ、今月下旬からは主要企業の決算が本格化する。業績改善への期待感が一段と高まるなど新たなきっかけ材料待ちの状況のなか、レンジ内での往来相場が続きそうだ。
東証株価指数(TOPIX)も5日続落し、11.57ポイント(0.51%)安の2243.33で終えた。JPXプライム150指数は3日続落し、7.60ポイント(0.74%)安の1021.21だった。
東証プライムの売買代金は概算で3兆6945億円。売買高は15億1531万株だった。東証プライム市場の値下がり銘柄数は814、値上がりは932、変わらずは89だった。