前日の米株高を受けリスク選好ムードのなかで取引が始まり、日経平均は3万9000円台前半で強調展開をみせたが、ほどなくして値を消す格好となった。前日の米国株市場では金融大手の好決算を背景に銀行株や景気敏感株を中心に買い戻す動きが優勢で、NYダウは2日ぶりに最高値を更新。この流れを東京株式市場も引き継ぐかに見えた。
しかし、買い一巡後に半導体セクターの上値の重さが確認されたことで、全体相場は総じて見送られる地合いに変わった。午後に発表されたTSMC<TSM>の決算は想定以上に好調な内容だったが、半導体関連株をはじめいったん下げ渋ったものの相場の流れを変えることはできなかった。
15日に25年12月期通期の売上高見通しを下方修正したASMLは16日に決算説明会を開催。中国向けの半導体需要の減速懸念に加え、スマートフォンやパソコンなど民生機器向け需要の弱さが改めて意識された。16日の米市場でASMLのほか、半導体製造装置のアプライドマテリアルズ(AMAT)などが下落したこともあって、日本の半導体製造装置株に売りが波及した。
TSMCが17日に発表した24年7〜9月期決算は生成AI(人工知能)向け先端半導体の販売が好調で総じて良好な内容だったが、市場では織り込み済みとの見方も多く、積極的に買い材料視する動きは限られた。17日午前に中国当局が記者会見を開き、追加の不動産支援策について発表した。ただ期待したほどの内容ではなかったとの受け止めから、上海総合指数が一時下げに転じるなど、中国株がさえない動きとなっていることも重荷だった。
外国為替市場で円相場は1ドル=149円台で推移し、前日夕時点に比べて円安・ドル高方向に振れる場面が目立った。自動車関連など主力の輸出関連株の一角には輸出採算の改善を期待した買いが入った。16日の米株式市場で市場予想を上回る決算を発表した金融株が買われた流れを引き継ぎ、きょうの東京市場で銀行株が買われたことも相場全体を下支えした。
TSMCの決算では織り込まれている面はあるだろうが、ASMLホールディングが急落する中で投資家の関心が集まっていた。米国市場で評価されるようだと、改めて押し目待ち狙いの動きに向かわせそうだ。日経平均は安値引けとはなったが、日中はほぼ39000円を挟んだ狭いレンジでの推移であり、仕掛けて的な売買は入りづらいところである。なお、国内では引け後に決算を発表するディスコがアク抜けの動きをみせてくるかが注目されそうだ。