前日の米株式市場では、NYダウは184ドル安と反落。中東情勢への警戒感で売りが優勢だった。米国株が下落したものの、日経平均株価は日銀による早期の利上げ観測の後退を手掛かりとした買いが引き続き優勢だった。前引けは180円高とこの日の高値圏に上昇した。
ただ、後場に入ってからは、上値は重く3万8600円台を中心とする一進一退が続いた。週末要因に加え、今晩は米9月雇用統計が発表されることもあり様子見姿勢が強まり、引けにかけ一時マイナス圏に転じる場面もあったが、結局買い直されて取引を終えた。
海外短期筋などによる株価指数先物への断続的な買いが入った場面で、日経平均の上げ幅は200円に迫った。もっとも、日本時間今晩発表の9月の米雇用統計を見極めたいとの雰囲気などから、積極的な買いは続かなかった。
日銀の金融政策を巡り、石破茂首相が2日に「追加利上げをする環境にない」と発言した。将来的には金融政策の正常化が進むとみられているが、市場では早期利上げの思惑が急速に後退しており、株買い・円売りの勢いが強まっている。米欧など世界の中央銀行が利下げや金融緩和に動いており、海外投資家の投資余力が増していることも日本株の先高観を強めているようだ。
石破首相は4日午後、衆院本会議で所信表明演説に臨み、経済政策では岸田文雄前政権の方針を踏襲する考えを示した。金融所得課税などへの言及はなく、「波乱なく通過した」との受け止めも一定の安心感につながったとみられる。
日経平均は下げに転じる場面もあった。イスラエルとイランの衝突など中東情勢の緊迫が警戒されたほか、外国為替市場で円相場が前日比で上昇に転じるなど足元の下落が一服したことも重荷となった。米雇用統計の発表を前に、週末とあって持ち高調整の売りも出やすかった。
さて、東京株式市場は週末ということで活発な売買は控えられたが、円安や半導体株人気によって高値圏ながらも堅調さは維持している。
石破首相が当初のタカ派的姿勢からハト派に転換し、市場や経済を安定させる方向を示していることも下値不安の後退につながっている。中東問題で原油価格が急上昇してる点は不安だが、現状では極度のエスカレーションは避けられそうなところもありそうだ。