朝方は、20日の米国株式市場は休場で手掛かり材料が乏しいなか、売り物がちで始まった。やや下げ渋る場面もあったが、買い気は鈍く再び軟化した。
中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎について、当初は比較的可能性が低いとされていた人から人への感染に警戒感が強まったのが投資家心理を冷やした。
多くの訪日客が見込まれる中国の春節(旧正月)期間の大型連休を目前に訪日外国人(インバウンド)消費や国内消費に悪影響が出ると警戒した海外短期筋の売りが広がった。
香港ハンセン指数が安く始まったのを受けて前場中ごろ過ぎから急速に下げ幅を拡大した。香港は昨年からの大規模デモが経済を下押ししており、新型肺炎の感染拡大の影響が大きく出やすいとの見方は多い。バブル崩壊後の高値更新を前にやや上値の重さもあった日本株についても香港株安につれて早めに利益確定売りに動こうとする海外投資家が増えた。薄商いのなかで日経平均は株価指数先物の下げが主導して下げ幅を広げる場面が目立った。
個人投資家による押し目買いも指摘されたが、相場全体を押し上げるには力不足で日経平均は午後に一段安となった。
市場からは「高値警戒感のなかで、中国の新型ウイルス肺炎への懸念など上値を抑える要因をにらみ、短期筋が仕掛け売りに動いたとみられる。上値は重くなったが、投資家が動き出すのは決算を見てからだろう」との声が聞かれた。
JPX日経インデックス400は3営業日ぶりに反落した。終値は前日比101.85ポイント安の1万5517.25だった。東証株価指数(TOPIX)も反落し、9.19ポイント安の1734.97で終えた。
東証1部の売買代金は概算で1兆6704億円。売買高は9億1259万株と低調だった。東証1部の値下がり銘柄数は1041、値上がりは1002、変わらずは116銘柄だった。