最近の急速な相場上昇を受けて高値警戒感が強まり、目先の利益を確定する売りが優勢になった。前週末の米ダウ工業株30種平均の上昇を受けて朝方は買いが先行し、7月3日につけた年初来高値(3万3753円)を上回る場面もあった。
寄り付きはリスク選好ムードのなか日経平均が上値を指向、朝方に180円以上の上昇で3万3800円台まで水準を切り上げる場面があった。しかし上値は重く、その後は一貫して売りに押される展開となり、前場取引中盤にはマイナス圏に沈んだ。
前週末の欧州株市場がほぼ全面高に買われたほか、米国株市場でもFRBによる利上げ打ち止め観測が広がるなか、NYダウが続伸するなど頑強な地合いだった。東京市場も朝方はこれを引き継いだものの、きょうも3万3000円台後半の売り圧力に屈する形で、終値でのバブル後高値更新はならなかった。日経平均は今月に入って2700円あまりの上昇を見せていたことで、目先高値警戒感が意識されている。
きょうは為替市場でドル安・円高方向に振れたことや、アジア株市場がほぼ全面安となったことも投資家心理を冷やした。
海外勢は11月第3週(13〜17日)まで、日本の現物株と先物の合計で2週連続で1兆円を超える高水準の買い越しとなるなど、日本株への買い意欲は強い。だが、日経平均は11月に入って急ピッチの上昇が続き、前週末までに2700円あまり上げたため、一方的な上値追いへの警戒感も広がりやすかった。中国の景気減速への懸念などから27日の中国・上海などアジア株相場が下落したことも日本株売りを促した。
日経平均は11月に入り急上昇してきただけに、上値追いに慎重な見方も出始めている。また、心理的な節目の3万4000円を超えて買い上がる好材料も見当たらない。一方、配当の再投資への期待が高いほか、海外投資家が2週連続して1兆円超の買い越しとなるなど外国人投資家の買い継続への期待もあり、押し目狙いの買い意欲は強そうだ。目先は海外短期筋による投機的な先物買いと、中長期目線の投資家などの利益確定売りが交錯しそうである。