ECBは9日、7月に量的緩和政策を終えることを決定し、同月中に政策金利の0.25%の利上げを行う見通しを示した。量的緩和終了により欧州景気の減速懸念も浮上した。
ECBの決定を受け、米長期金利が上昇しNYダウは638ドル安と急落した。
この流れのなか、東京株式市場も軟調な値動きとなり、日経平均は3日ぶりに2万8000円を割り込んだ。
足もとで戻り歩調を強めていただけに、いったん利益確定売りも出た様子だ。特に、今晩は米5月消費者物価指数(CPI)の発表が予定されており、模様眺め気分も強まるなか下値を拾う動きは限られた。
前日までの5営業日で800円超上昇した後で、週末を控えた持ち高調整の売りも出やすかった。
機械や鉄鋼、非鉄といった景気敏感銘柄の下げが目立った。
日本時間10日夜には米国の5月の消費者物価指数(CPI)が発表される。足元の原油など資源価格の上昇で、米国のインフレが再加速することへの警戒もある。インフレが進み米長期金利が上がると割高感が意識されやすい高PER(株価収益率)のグロース(成長)株にも売りが出ていた。
半面、百貨店や不動産など内需関連の一角には買いが入った。観光目的のビザ発給が再開されるなど、日本の景況感の改善が続いているとの見方が支えとなった。朝方には株価指数先物・オプション6月物の特別清算指数(SQ)の算出にからんだ売買もあった。
この日算出の日経平均先物・オプション6月限SQ(特別清算指数)値は2万8122円81銭となり、日経平均がSQ値にタッチしない「幻のSQ」となった。
東証株価指数(TOPIX)は続落した。終値は前日比25.96ポイント(1.32%)安の1943.09だった。
東証プライムの売買代金は概算で3兆1449億円。売買高は12億7253万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1634と、全体の9割弱を占めた。値上がりは176、変わらずは28だった。