前週末の米国株市場ではジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演内容がハト派的であったことからFRBによる早期利下げ期待が一段と高まり、景気敏感株やハイテク株など幅広い銘柄が買われ、NYダウ、ナスダック総合株価指数ともに上昇した。ただ、米長期金利が低下したことで、外国為替市場ではドル売りの動機を誘発。一時1ドル=143円台半ばまで円高方向に振れ、約3週間ぶりの円高・ドル安水準を付けた。全体相場の気勢を削ぐ格好となった。
自動車株や半導体セクターなどハイテク株には向かい風となって日経平均は前場に500円超下落する場面もあった。一方で円高によって輸入コストが下がる内需系の銘柄には買われるものも少なくなかった。
半面、円高でコスト上昇圧力が和らぐとの期待からニトリHDや日ハムなど内需株には買いが向かった。新興企業向け株式市場で東証グロース市場250指数が大幅上昇するなど個人投資家の心理は改善しているとみられる。円買い・ドル売りが一巡した後、円高進行に一服感が出たこともあって後場に入ると日経平均は3万8000円近辺で底堅さを見せ、大引けにかけては下げ幅を縮小した。
さて、東京株式市場は米株高よりも足元の急な円高・ドル安を嫌気して売りが先行する展開だった。3万8000円台でたびたび伸び悩んでいることも買い方を躊躇させている面があるようだ。もっとも、米国で利下げが開始され、さらに米景気のソフトランディングもほぼ成功したといえる状況から株式を本気で売る環境にはない。むしろこうした押し目を好機と見る向きが増えてくるだろう。