
前日までの急騰で高値警戒感が強く意識されるなか、主力株にポジション調整の売りが顕在化した。前日の欧米株市場が高安まちまちで買い疲れ感も見られたことで、東京株式市場でもリスクを積極的に取りに行く展開とはならなかった。
今週末にジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演を控えており、この内容を見極めたいとの雰囲気が買いを手控えさせた格好だ。特に日経平均寄与度の高い値がさ株への売りが指数押し下げ効果をもたらした。
ただ中小型株を中心に個別株物色は活発で、日経平均とTOPIXいずれも安かったにもかかわらず、値上がり銘柄数が値下がり数の倍以上となっている。なお、活況な商いは維持されおり、全体売買代金は9営業日連続で5兆円を上回った。
米インテルに20億ドル(約3000億円)を出資すると18日に発表したソフトバンクグループ(SBG)が株式分割考慮後の上場来高値を連日で更新したが、その後は反落し一時5%安まで売られた。終値ではSBGの1銘柄で日経平均を135円下押しし、相場全体の重荷となった。このほか前日に株式分割考慮後の上場来高値を更新した任天堂など足元で堅調だったゲーム関連株の下げも目立った。
2025年4〜6月期の決算発表が一巡し、市場からは「例年、お盆休みの翌週は売買代金が減少する傾向にある。閑散とするなか、足元では高値警戒感も強く、投資家は動きづらかった」との声が聞かれた。週末には米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)が予定される。市場が注目するイベントを前に様子見の雰囲気も漂い、相場は方向感を欠いた。
さて、東京株式市場は日経平均が上値4万4000円の大台を前にして少し慎重になっている様子を見せているが、旺盛な買い意欲や強い先高観に支えられ下値限定的な好需給相場を続けている。テクニカル的には5日移動平均線(4万3312円)が超短期のサポート線で、今月上旬の上放れから一貫して下値を支え続けている。一気に4万4000円へ乗せるにはここを基点にしておきたいだろう。