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【大引け概況】


5日の日経平均株価は3日続落した。大引けは前日比390円52銭安の3万6657円09銭で、8月14日(3万6442円)以来およそ3週間ぶりの安値で終えた。

 
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きょうの東京株式市場は半導体など主力株中心にリスク回避ムードが強かった。前日の米国株市場では主要株価指数が高安まちまちの展開で、過度な不安心理が後退したが、外国為替市場で急速に円高方向に傾いたことが嫌気される形で輸出関連株に売りがかさんだ。今週末に発表される8月の米雇用統計を前に買い向かう動きは限定的なものにとどまった。特に、半導体主力株が下げ止まらず全体相場の足を引っ張り、日経平均は朝方に700円近い下落をみせる場面もあった。一方、食料品や倉庫、鉄道、建設といった内需株には高い銘柄も目立った。業種別では33業種中、15業種が上昇している。また、中小型株が相対的に強さを発揮し、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数は拮抗している。売買代金は前日の水準には届かなかったものの4兆円台に乗せている。
 
前日の米市場ではエヌビディアが下落し、東京株式市場でも東エレクトロンやアドバンテストなどに売りが出た。7月の米雇用動態調査(JOLTS)で非農業部門の求人件数が市場予想を下回り、米景気減速への警戒感も引き続き重荷となった。市場が米景気動向に神経質となっているなか、今後も雇用統計(6日)など重要指標の発表が相次ぐとあって、持ち高調整の売りが出やすくなっているとの見方があった。
 
5日の石川県金融経済懇談会で日銀の高田創審議委員は、7月の追加利上げを踏まえても金融環境は緩和的で、賃上げなどの持続性が確認されていけば「その都度、もう一段のギアシフトを進める」と語った。今後も段階的に利上げを進める必要があるとの考えを示したと受け止められ、株式相場の重荷となった面があった。
 
厚生労働省が5日発表した7月の毎月勤労統計(速報)で、物価変動の影響を除いた実質賃金の前年同月と比べた伸び率は2カ月連続のプラスとなった。個人消費の回復期待から小売株の一角は上昇したが、市場では「実質賃金のプラス基調は日銀が利上げに動きやすくなるため、株式にとってマイナス要因となる側面も意識されたようだ」との声が聞かれた。
 
米景気後退懸念が再び意識されるなかでは、押し目を拾う動きにもなりづらい状況と言えよう。米国では8月のADP雇用統計や8月のISM非製造業景況指数が発表される。市場予想を大きく下回れば、6日の雇用統計を前に再び値動きの荒い展開になる可能性もありそうだ。明日も米雇用統計待ちのなかで積極的な売買は手控えられやすく、短期的な値幅取り狙いの商いにとどまりそうだ。

 

 
東証株価指数(TOPIX)は続落した。終値は12.73ポイント(0.48%)安の2620.76だった。JPXプライム150指数は続落し、7.19ポイント(0.61%)安の1170.32で終えた。
 
東証プライムの売買代金は概算で4兆2056億円、売買高は16億273万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は803。値上がりは784、横ばいは58だった。
 
個別では、売買代金首位のレーザーテック、同2位のディスコ、同3位の東京エレクトロンがいずれも下落したほか、ルネサスエレクトロニクス、レーザーテック、アドバンテストなど半導体株が総じて下落した。三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンクも軟調。日経平均構成ウェイトの調整が入ることが意識されてファーストリテイリングの下げも目立った。トヨタ自動車が売られ、キーエンス、第一三共、中外製薬などが下落した。BEENOSが急落、ジャパンマテリアル、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスなども大きく水準を切り下げた。このほか、シャープ、レゾナックHD、横河電機、ファナックなどが売られた。
 
一方、証券会社のポジティブなレポートを材料にアサヒグループHDが買われたほか、三菱倉庫、GSユアサ、日立造船が寄付きから上げ幅を拡大。このほか、三菱倉庫や花王、大成建設、東レ、三菱ケミカルグループ、積水ハウスなどが切り返す展開となった。
ソフトバンクグループが上昇、メルカリも高い。ACCESSが値上がり率トップに買われたほか、サンウェルズが切り返した。ベステラが値を飛ばし、ミガロホールディングス、セガサミーホールディングスなども買われた。