
きょうの東京株式市場はリスク回避ムードのなか利食いを急ぐ動きが強まった。トランプ米大統領が日本に対して関税交渉の合意に懐疑的な見方を示し、関税の更なる引き上げを示唆したことでマーケットのセンチメントが悪化した。これを受け日経平均は朝方に500円を超える下げをみせたが、その後は押し目買いが入り急速に下げ渋る場面があった。
外国為替市場で思ったほど円高が進まなかったことや、米株価指数先物が堅調な値動きを維持したことで投資マインドが改善したほか、海外投資家の先物への買いが裁定買いを通じて全体相場に浮揚効果を与えた。もっとも、取引終盤は再び売りが厚くなり、結局200円あまりの下げで着地している。個別株物色意欲は活発で、値上がり銘柄数は値下がり銘柄数を100銘柄あまり上回った。なお、売買代金は前日を上回ったものの5兆円台には届いていない。
日経平均は6月末までの急ピッチな上昇で短期的な過熱感が意識されていた。このところの株高をけん引してきたアドテストや任天堂などに売りが出た。トランプ米大統領が1日、日米関税交渉の合意に懐疑的な見方を示し「30%か35%か我々が決める数値に応じて(関税を)支払ってもらう」と述べたことも、日本株の重荷だった。
一方、アナリストによる投資判断や目標株価の引き上げがあった不動産株の一角が買われた。空運株や海運株も堅調だった。米シカゴ市場の米株価指数先物が日本時間2日午後の取引で堅調に推移すると海外勢が株価指数先物に買いを入れ、日経平均も下げ幅を縮めた。
さて、東京株式市場は昨日に続いて目先の過熱感を冷ます動きとなっているが、トランプ関税に関して日本にあまり譲歩がないことが分かり、今後の上値を重くさせる可能性として意識されている。日本には対抗カードがあまりないため市場も現実的なラインとしてある程度の高関税を前提に考えて行くことになりそうだ。それでも直近で5連騰した分の半分も押しておらず基調そのものは安定的といえよう。