朝方は、日経平均は15日時点で9月末を1800円あまり下回る水準まで下落していたため、値ごろ感などに着目し自律反発を狙った買いが優勢になった
日経平均は2日ぶりに長期トレンドを示す200日移動平均(2万2500円近辺)を上回った。日経平均を対象としたオプションの価格から算出する日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)が下落したのも、投資家の不安心理を和らげた。
日経平均は下げに転じる場面もあった。インバウンド(訪日外国人)需要の鈍化に対する懸念から資生堂やユニチャームなどのインバウンド関連銘柄が売られ、重荷となった
一巡後は大引けにかけて切り返しの動きを強めた。なかで、鉱業、不動産、鉄鋼などが上昇した。
市場では、10月初旬から前日まで2000円近く下げたことを考えると、16日の上げ幅はさほど大きくなく、「株価底打ちを確認できる上昇ではない」という。
米国の通商政策をめぐる不透明感や中国景気の減速懸念といった悪材料がくすぶる中、サウジアラビア人記者の殺害疑惑が出てくるなど、不安の種は尽きない。売買代金がさほど膨らまなかったことからは、投資家の買い意欲が強まっていないことがうかがわれる。「リスク回避一色だった投資家心理は少し落ち着いたかもしれないが、まだしばらくは振れの大きい相場が続きそうだ」という。
JPX日経インデックス400は反発した。終値は前日比123.46ポイント高の1万4974.64だった。東証株価指数(TOPIX)も反発し、12.47ポイント高の1687.91で終えた。
業種別株価指数(33業種)は、鉱業、不動産業、鉄鋼、海運業などが上昇。精密機器、サービス業などが下落。
東証1部の売買代金は概算で2兆4823億円。売買高は12億6021万株だった。東証1部の値上がり銘柄数は1112、値下がりは910、変わらずは87銘柄だった。
個別では、ファストリとソフトバンクが上昇し、2銘柄で日経平均を約110円押し上げた。親会社のNTTがTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表したNTT都市は朝方から買い気配が続き、大引けはストップ高水準で一部の売買が成立した。
三井不や菱地所など不動産株の上昇が目立った。トヨタ、ホンダなど自動車株が堅調。ソニー、キヤノンが買われ、東エレクはしっかり。JFE、国際帝石、郵船は値を上げた。
一方、資生堂、高島屋が売られ、テルモとリクルートは下落した。出光興産、昭和シェルは値を消した。キーエンスは約3カ月ぶりに年初来安値を更新した。
東証2部株価指数は前日比6.38ポイント高の7122.10ポイントと反発した。
出来高1億1494万株。値上がり銘柄数は207、値下がり銘柄数は205となった。
個別では、TBグループがストップ高。鉄人化計画、トーヨーアサノ、野崎印刷紙業は一時ストップ高と値を飛ばした。櫻護謨など3銘柄は年初来高値を更新。アウンコンサルティング、ビットワングループ、フライトホールディングス、東亜石油、寺岡製作所は値上がり率上位に買われた。
一方、サイバーステップがストップ安。森組ブルボン、ボーソー油脂、アスモ、三光マーケティングフーズなど28銘柄は年初来安値を更新。アクロディア、ダイサン、ビート・ホールディングス・リミテッド、天満屋ストアが売られた。