中国の経済指標の悪化を受けて世界景気の先行き不透明感が強まり、機械や鉄鋼、商社など中国関連株への売り圧力が強まった。日経平均は前日までに4日続伸し、1990年7月以来の高値を連日で更新したことで、利益確定売りも出やすかった。
主力株をはじめ幅広い銘柄に利益確定の売りが顕在化し、先物を絡め日経平均は大きく下値を探る展開に。前日の欧州株市場が全面安に売られたほか、米国株市場でも債務上限問題の採決を警戒して、NYダウが反落するなどリスク回避ムードが強まった。
また、取引時間中に発表された中国の経済指標を受け景気の減速懸念が嫌気され、アジア株が全面安商状に売られたことも投資家心理を冷やした。外国為替市場で円高に振れたことは、輸出株やインバウンド関連を中心にネガティブに作用した。
中国国家統計局が午前に発表した5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は前月比0.4ポイント低下の48.8と市場予想を下回り、景気判断の分かれ目となる50を2カ月連続で下回った。中国景気の低迷が世界経済の減速につながるとの見方から安川電やJFE、丸紅などが大きく下落した。
財務省と日銀、金融庁は30日夕、国際金融資本市場に関する情報交換会合(3者会合)を開いた。市場では1ドル=140円台まで進んだ円安に対するけん制との見方もあり、この日は円安基調が一服。トヨタなど輸出関連株を中心に重荷になったとの見方があった。
朝方に経済産業省が発表した4月の鉱工業生産指数は前月から0.4%低下。民間予測の中央値は前月比1.5%上昇で、予想に反して3カ月ぶりに低下した。日本と中国の生産停滞を警戒した売りが幅広い銘柄に広がった。アドテストや東エレクなどこれまで相場をけん引してきた値がさの半導体株が下げた。
月間では日経平均は5カ月連続で上昇した。5月の月間上昇率は7.0%と、20年11月以来の大きさだった。
日経平均は目先的に調整局面入りするとの指摘が聞かれるなか、米国ではボウマン米連邦準備制度理事会(FRB)理事やボストン連銀のコリンス総裁など複数の金融当局者の発言機会のほか、5月のシカゴ購買部協会景気指数や4月のJOLT求人件数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)の発表が予定されており、目先的には米国市場の影響を受けやすくなりそうだ。
東証株価指数(TOPIX)は続落し、前日比28.59ポイント(1.32%)安の2130.63で終えた。東証プライムの売買代金は概算で6兆9552億円と2022年4月の市場再編後では最大だった。大引けで主要な株価指数の構成銘柄の入れ替えに伴う売買が活発化した。売買高は25億8648万株だった。値下がり銘柄数は1571、値上がりは230、変わらずは34銘柄だった。