朝方から売りに押される展開。日経平均は前場の早い段階で760円安まで売り叩かれ、3万8000円大台攻防となる場面もあった。
トランプ次期米大統領がSNSを通じて中国やメキシコ、カナダに追加関税をかける意向を表明したことで、これが嫌気される形にまった。しかし、その後は個人投資家の押し目買いに加え、機関投資家による企業の中間配当支払いを受けた配当再投資の動きなどが観測され下げ止まった。更に大引けにかけて日経平均は急速に下げ渋り、下落幅を330円あまりまで縮小し、後場の高値圏で引けている。
トランプ氏は中国からのほぼ全ての輸入品に対して追加で10%の関税をかけると表明した。中国からメキシコなどを経由し、合成麻薬が米国に流入していることへの対抗措置という。カナダやメキシコについても2025年1月20日の就任初日に25%の関税を課すための大統領令に署名すると宣言した。市場では「中国だけでなく、米国の友好国であるカナダやメキシコが追加関税の対象となったことで、いずれ日本企業にも一律の追加関税が課されるとの警戒感が強まった」との声が聞かれた。
ただ、下値では先高観を背景とした個人投資家などによる押し目買いが入り、日経平均は下げ幅を縮小した。例年11月後半から12月前半にかけては3月期決算企業の中間配当金が投資家に払われ、配当金の一部を再投資にまわす動きが活発化するとされている。日本企業の増配基調に伴い、配当再投資の買い需要は年々大きくなっている。
市場関係者は配当の再投資の需給要因に加え「年末は株高になりやすい経験則もあり、投資家は売り持ち高を抱えたくないはず。今日の下げは一時的にとどまるのではないか」と話した。